こんにちは、みなさん!
チラシやパンフレットをつくる際に、デザインやアイデア出しに困ったことはありませんか?
そこで、弊社のデザインチームがどのようにデザイン案をあげていくかご紹介いたします。
この記事を見て「こんなやり方があるんだ~」と気付きがあれば幸いです。
目次
はじめに
チラシやパンフレットは、その企業や、製品などを実際に手に取って見るお客様への、とても大事なマーケティングツールです。それが魅力的なデザインであれば、ターゲットの注意を引き、情報を効果的に伝える鍵となります。
しかし、目を引くデザインであると同時に、わかりやすく情報を伝えるといったユーザーへ寄り添った紙面作りも考えなくてはなりません。そんなデザインにおいて、クライアントの要望に応え、同時に独自性を持たせる「ひらめき」を我々プロはどのようにしたら得ることができるでしょうか?
デザインで良いアイデアを出すための『5つのステップ』
例として『1つの製品パンフレットをつくる』という想定で、どのようなプロジェクトにも応用可能な、実践的なテクニックとヒントを書き記したいと思います。
クライアントの期待を超えるデザインを生み出すには、明確なプロセスが不可欠です。
この記事では、目を引くチラシやパンフレットをデザインするための良いアイデア。そのアイデアを出すための『5つのステップ』を紹介します。それぞれのステップで、クライアントの思い描いているゴールを理解し、デザインに落とし込む。
そんなあなたの「ひらめき」を実現するためのコツをお伝えいたします。
step
1まず最初に何を求められているか探る
『ヒアリングの精度がアイデアの完成度に直結』
最初にやる事であり、一番の要でもあります。
話を聞く相手(クライアントの担当者や現場に出てこない幹部役員、こちら側の営業、協力スタッフなど)が求めていることを取材し、最終的な目的が「負担軽減」「販促効果」または「イメージアップ」でも従来の「イメージの強化」なのか「イメージ刷新」なのかなど、何をゴールにするか・・・等々をヒアリングし、アイデアの引き出しとして蓄積する。
- 売上を増加したいのか?/ブランド認知度を向上させたいのか?
- ブランド認知度をどう向上させたいのか?(イメージアップ/イメージチェンジ)
- 負担を軽減したいのか?(散乱した情報をまとめたい)
- イベントのプロモーションを考えているのか?
- とりあえず作りたいのか?
そのために自分たち(クライアント側)では何が『できない』、または『できる』と思っているかを聞き出す。コンペの場合は他のデザイン会社が気づかなかった課題の洗い出しができればベストでしょう。
クライアントが伝えたい主要なメッセージは何か、それを最も効果的に伝える方法は何かを探求します。メッセージの明確化は、デザインの方向性を定める際に欠かせない要素です。
できればその上で、予算、時間、先方の裁量権※なども把握したい。
※ 裁量権
自身の考えで意思決定できる権利。裁量権が弱いと、形がある程度出来上がっている段階で、上部の確認でひっくり返ることも多々あります。
まとめ
・その製品の内容、世間の市場価値など事細かく『リサーチ』し、よく知ること
・ヒヤリングにより「何を」「だれに対して」「どうしたいか?」を固める
・予算/時間/裁量権などを把握する
step
2何を提供できるか考える
『提供するのは、成功までの道筋(ストーリー)』
目的を実現するために、何が課題なのか、どうやったら解決するかを考えます。
今までアプローチできなかった層への接触機会なら、従来とは一線を画す新しい表現を提案してみる。
例えば、紙媒体からWeb、動画、アプリ、AR、VR等、従来とは違う接点や媒体など。
先方担当者の負担軽減なら、作業の効率化、改訂時の配慮から、上層部に説明するための企画書など。
クライアントが直面する問題や課題を明確にし、それらを克服するための具体的なアイデアや解決策を提案することが重要です。
まとめ
・「何が課題なのか?」「どうやったら解決するのか?」を深掘りする
・今までとは違ったアプローチを提案してみる
・問題や課題を明確にし、それらを解決できる具体案を提示する
step
3どんな発想や展開が必要か検討する
『常識を超えるために、単純に真剣に考える』
具体的には、競合他社の事例研究、顧客からのフィードバックによる分析、または異業種からのインスピレーションを探るなど、あらゆる手段を用いて新しい発想にアプローチします。
デザインは常に「なぜ?」と自問し続け、満足することなく探究を続ける精神から生まれます。このような取り組みが、既存の枠組みを超えた新たなデザインの展開へと導く鍵となるのです。
例えばB to B※商品をコンシューマー向けに販売するなら、従来と同じ手法では難しい。
もしそれが課題だとすると、販促ツールの表現を洒落た感じにするということはすぐに思いつきますが、媒体を変えてあえて表現は B to Bの時のままにした方が従来のブランド力を活かせるかもしれない。
例としては、商品自体をカラフルにする、少量梱包にする、サイズ変更、キャラクター化するなど新しい価値を付加した方が良いことも考えられます。
また、商品自体の効果や目的を変えるということもあり得ます(食品メーカーのレシピ提案など)。 「この方法しかない」といった関係者の思い込みをなくしてみると、誰もが気づけそうな「成功までの最短距離の道筋」が見えてくると思います。
※ B to B
Business to Businessの略で、企業(法人)から企業(法人)への取引のこと
まとめ
・顧客からのフィードバックの徹底的な分析
・異業種からのインスピレーションを探る
・価値を付加した方が良いこともある
・商品自体の効果や目的を変える
・思い込みをなくしてみる
step
4それを実現するためにどんな方法があるか調べる
『知らない状態から、良いアイデアは生まれない』
このステップでは、良いアイデアが十分な知識と情報から生まれるという理解を踏まえ、良いアイデアのための具体的な方法を考えてみます。
知識を深め、情報を広げることでアイデアを「実現化」することが重要です。
具体的には、クライアント企業を取り巻く環境や行政の動向、そこから見えてくる今後の予測、競合他社が行っている施策、マーケティング先進国や先行している他業界の手法、展開を考えた時に実現できそうな新しい媒体や新技術など知っておくべきことは無限にあり、これらを知っていることで幅広くアイデアの種を育てていくことができます。
欲を言えば専門家や業界リーダーと対話が可能であればいいのですが、時間も限られているので役立ちそうな項目にアタリをつけて情報収集する感じがよいかと思います。
まとめ
・知識を深め、情報を広げることで、アイデアを現実に変える
・市場とトレンドの調査
・テクノロジーとツールの探求、最新の技術全般
・できれば専門家や業界リーダーと対話
step
5組み合わせたり、視点を変えたりしてオリジナリティを出す
『アイデアは組み立てるもの』
よく「アイデアが降りてきた」という話を聞きますが、ほとんどの人はそれをコンスタントに維持するのは難しいと考えています。
少し前に流行ったアニメ映画の「君の名は。」に出てきた組紐、この伝統工芸品は複数の色の糸を組み上げてつくりますが、アイデアも同じようなもの。手法や形状、配色、メッセージなど、ひとつひとつを見ればありきたりのものでも、それを組み合わせることで目新しさやオリジナリティを生み出していく。
もちろん新技術や新素材を使用することもありますが、それを活かすためにもそれ以外の要素をしっかり吟味して適切に組み上げていくことが重要です。
異なる思考や要素を融合させることによって、独自性を形成するということです。
アイデアの組み合わせ(異なる技術の組み合わせ)例
- IoT・・・家電などの日常のモノとインターネットを接続すること
- モバイルヘルスケア・・・スマートフォン端末やタブレット端末などを利用して行う医療行為や診療サポート
- 拡張現実(AR)を活用したアート展示・・・展示にAR技術を導入。ARアプリを通じて、来場者はアート作品に隠されたストーリーや詳細情報を見るなど
アイデアを組み立てるには、異なる知識や概念、技術を交差させる必要があります。これまでのステップで収集した情報や発想を、一見無関係に見えるかもしれない方法で結びつけてみます。例えば、異なる業界の戦略を組み合わせることで、まったく新しいデザイン手法が生まれるかもしれません。
まとめ
・手法や形状、配色、メッセージなどをひとつひとつ組み合わせる
・異なる思考や要素を融合させることが独自性を生む
・異文化の視点や、異分野の専門知識を取り入れることでアイデアを生む
・組み合わせや視点の変更を繰り返すことで、徐々にオリジナリティが高まる
実践的なヒントとテクニック
それでは次にチラシやパンフレットのデザインにおいて、アイデアを形にするための具体的な方法を紹介します。
アイデアを形にする
いきなりパソコンの画面に向かってつくり出すのではなく、まずは手書きによるラフスケッチから始めるのがオススメです。
紙に描いてアイデアを形にしていくプロセスは、思考を整理し、さらに良いアイデアを引き出すのに役立ちます。
できれば沢山のアイデアを、質は問わないので手書きする。
そのあと絞り込んでいくイメージです。数が多いのは、自分の中で情報をまとめるのにとても有効であり、無数のアイデアから着想を得て、最終のアイデアに微細な変更を入れていくことが可能になるうえに、結果的に最後に完成するであろう制作物の質を向上させることができるからです。
ある程度数が絞れたら、この手書きラフを先方へ提出し、デザインの方向性を決めてもらうのも手です。
トレンドを追いかけつつも独自性を保つ
現在のデザイントレンドを把握することは大事ですが、それに頼りすぎることなく、独自のスタイルを開拓することが重要です。トレンドを参考にしつつも、自分なりの解釈を加えることで、オリジナリティ溢れる作品を生み出すことができます。こちらのサイトで気に入ったデザインをピン留めしてストックし、これらを参考にするのも手段のひとつです。
環境を変えて集中する
新しい環境は新たなアイデアを引き出すのに役立ちます。これをお読みのみなさんも、まずはSNSや検索などのネットで情報を集める方がほとんどだと思いますが、例えば、自然の中で過ごしたり、異なる文化のエリアを訪れたりすることで、新しい視点が得られます。テレワーク主体の働き方なら、カフェなどにノートパソコンを持って行ってもいいですね。
趣味や興味からインスピレーションを得る
個人的な趣味や関心事は、ユニークなデザインアイデアの源泉になり得ます。音楽、映画、芸術、科学、ゲームなど、様々な分野からインスピレーションを得て、それをデザインに取り入れることができます。意外なところで意外な結びつきがあるものです。
例えば、パンフレットのメインビジュアルは『あの映画のあのシーン』とか、
中面の表組は『あのゲームのUIを参考にしてみよう』等々・・・
まとめ
・無数のラフスケッチでアイデアを絞り出す
・トレンドなど情報をあらかじめ集めておく
・環境を変えて集中して考える
・趣味や興味からインスピレーションを得る
それでもアイデアが出ない時の対処法
それでもアイデアが出ずに行き詰まってしまうこともありますよね?
ここではそんな悩みにお答えします。
ブレインストーミング※をしてみる
一人で考えても解決策が見つからない場合、チームメイトや友人とブレインストーミングのセッションを設定してみてください。
多様な視点は新たなアイデアを生み出し、思いもよらない方向性の提案につながるかもしれません。
デザインチームなら「これデザイン案なんだけど、どうだろう?」と見てもらうとか話し合いをやってみます。
客観的にそれぞれ見てもらい、そして修正する。そうやってできたものは大体良い方向に行くような気がします。
※ ブレインストーミング
複数のメンバーが自由に意見を出し合うことで、新たな発想を生み出したり、アイデアを昇華させたりすることを目的としています。よく「ブレスト」と呼ばれます。
過去の作品を見直す
自分が過去に作成したデザインや、業界内外の成功したプロジェクトを見直すことで、新たなアイデアやアプローチのヒントを見つけることができます。これらの作品からインスピレーションを得ることで、新しい視点でプロジェクトに取り組むことが可能になります。
PDFなどにしてすぐ見られるようにしておくのがオススメです。
ちなみに色味に迷ったらこちらの「チラシの配色のコツ」を参考にしてみてください。
寝る(寝かす)
寝てリセットしてしまうワザ。
ひと晩寝かすのです。アイデアが全く出ない場合もさることながら、デザインや案がある程度固まった状態で「ひと晩寝かす(熟成させる)」と、まるでカレーみたいな作戦ですが、翌日すっきりした頭で見た時に改善点や違うアプローチが見えてきます。
時間があれば、1週間くらい寝かせている間に別プロジェクトを進め、そして再び戻ってきた時に何か発見があるといったことも。
つくった本人でも客観的に見られるので、この「寝る(熟成させる)」はオススメです。
AI技術を使ってみる
最近の技術進歩により、AIはデザイン分野でも非常に有用な手段となっています。
AIはクリエイティブな作業をサポートし、新しいアイデアを生み出すための補佐的ツールです。
■ AIによるデザインアシスタントの活用
AIによるデザインアシスタントは、初期コンセプトの生成から、色の選択、レイアウトの提案まで、多岐にわたる作業をサポートすることができます。
実際に、AIが生成するアイデアをみて「なるほどな」とか「そうきたか」と頷きながら、それらを参考にアイデアを絞っていくのが最近のスタイルです。
AIなのでダメ出しや意地悪な要望にも応えてくれます 笑
■ AIによる画像生成と加工
テキストベースのみならず、AIを活用した画像生成ツールは、リアルな画像やアートワークをゼロから作成できます。また、既存の画像を加工し、異なるスタイルや雰囲気に変換することも可能です。
しかしながら、微調整が人間の手によって出来ないことが問題です。イラストレーターの「.ai」形式で出力してくれればよいんですが・・・これは今後の課題でしょうか?
今やAIの進化は著しく加速しており、先週最新だったものがすでに上書きされていたりして、とにかく進化のスピードが速いのが特徴。
以前書いたブログですが、デザインにAIを活用するすべを書いています。
まとめ
・ブレインストーミングをしてみる
・一晩寝かせてみる
・AIの力を借りてみる
全体のまとめ
今回はチラシやパンフレットデザインにおけるアイデア出しのプロセスを、実践的なヒントとテクニックを交えながら紹介しました。
実際には簡単に「ひらめき」が突然舞い降りてくるかと言ったらそうでもなく、インスピレーションを得ることは容易ではありません。急いでいて余裕がない時は特にそうかもしれない・・・・「なかなか良いアイデアが浮かばない! 詰んだ」となります笑
しかし、今回お伝えした『5つのステップ』を念頭において行動すれば、効果的なアイデアを生み出す確率があがることと思います。
デザインは常に進化しています。
トレンド、ツール、テクノロジーにアンテナを張り、常に学び続ける姿勢が重要です。
ここ近年のAI技術のような新しいツールを取り入れることで、デザインに新機軸が加わり、より幅広く拡大されたデザイン領域が見えてくるでしょう。