カタログは人間の代わりに商品やサービスを説明してくれる、企業にとって重要な資料です。
実物をイメージできる写真や説得力のある解説で、お客様の購買意欲をかきたてられれば、当然売り上げの増加にもつながります。
では魅力的なカタログを仕上げるにはどんなポイントを押さえれば良いのでしょうか。
今回は、カタログ制作のデザインのポイントや、デザイナーへ依頼する際の注意点などを解説していきます。分かりやすい案内書を作成したい方、第三者へ依頼して質の高いカタログを作りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
カタログとパンフレットはどう違う?
一般的にカタログとパンフレットは同じ意味で使われるケースが多いです。
しかし、両者には大きな違いがあります。
ここからは以下の項目に沿って見ていきましょう。
- 内容の違い
- 目的の違い
- 対象ユーザーの違い
それぞれの違いについて具体的に解説していきます。
内容の違い
はじめに紹介する違いは内容です。
カタログ
商品やサービスについての情報が事細かく記載されています。
大量のページに多くの情報が詰まった重量感のある冊子のイメージが湧くはずです。
機能・容量・価格など、商品の概要を知るには最適と言えます。
パンフレット
企業の思いが端的にまとめられています。
企業が最も売り出したい商品やサービスを前面に打ち出し、お客様へアピールしていくものです。とくにアピールしたい商品に関しては詳細に説明し、思わず買いたくなるフレーズも見受けられるのが特徴です。
ページや紹介量は比較的少なく、推奨商品・サービスの情報が大半であるため、他商品の記載がないケースもあります。
このようにカタログとパンフレットは内容に大きく違いがあり、把握できる情報も異なります。
目的の違い
続いて紹介する違いは目的です。
カタログの目的は「お客様に買ってもらう」点にあります。
前述の通り、カタログには商品ラインナップが記載されています。
多くのカタログには注文書や見積書が添付されているのも、販売を目的として作られているからです。
写真を見て、詳細情報に納得した上で購入してもらいます。
情報量が多いため、ついで買いやまとめ買いに導けるのが特徴です。
一方、パンフレットの目的は「企業の宣伝」にあります。
代表商品やサービスの紹介がメインであり、企業イメージを高めるのがねらいです。パンフレットで認知度を高め、カタログで購入してもらう流れが一般的と言えます。
以上のようにカタログとパンフレットにはそれぞれ目的があるのです。
対象ユーザーの違い
最後に紹介する違いは対象ユーザーです。
カタログは購買意欲のあるお客様をターゲットとし、商品サイズ・色・使い方など、より詳細な情報が記載されています。企業の事を何も知らない方にとっては見づらいかもしれません。商品情報の記載が中心となるため、大枠である企業の特徴が把握しにくいのが特徴です。
パンフレットは新規ユーザー向けに作成されます。
まずは企業を知ってもらう必要があるため、ブランドイメージを強く打ち出しています。代表商品やサービスも把握でき、企業の大枠を理解できますが、既にある程度情報を持っているユーザーからすると物足りないかもしれません。
以上のように、対象ユーザーは明確に異なるため、ニーズに合わせたターゲットを定めることが必要です。
カタログ制作のデザインのポイント
本記事ではパンフレットではなく、カタログのお話をしていきます。
カタログは以下の特徴がありました。
・商品やサービスについての情報が事細かく記載してある
・お客様に買ってもらうことが目的
・ターゲットは購買意欲のあるお客様
このことを意識しながらデザインのポイントを押さえる必要があります。
魅力的なカタログには共通点があります。
- 用途をはっきりさせる
- 検索性を意識する
- 構成は顧客が見て分かりやすいように
それぞれの違いについて具体的に解説していきます。
用途や目的をはっきりさせる
まず、用途や目的をはっきりさせていきましょう。ねらいが明確化されたカタログは読みやすく、読者により興味を持ってもらえます。
とくにデザイン着手する際にはターゲット選定が重要と言えます。
例えば、中高年をターゲットにするのであれば、寒色系で落ち着いたデザインが好まれる傾向にあります。若年層であると、鮮やかで濃い配色は読みやすいです。また、性別だけでなく、年齢・個人/会社・職業別なども考慮する必要があります。
まずは対象の優先順位付けをしていくと良いでしょう。
すべてのお客様を対象にすると、かえって不明瞭なカタログに仕上がってしまいます。
前述した項目別に分け、ターゲットにする顧客層を明確化することで、情報がシンプルにまとめられ、手に取った方が思わず買いたくなるカタログが出来上がります。
検索性を意識する
カタログはお客様に買ってもらうことが目的。デザインにおいて検索性は欠かせません。
買いたい商品をすぐに探せなければ、カタログから目を離してしまうかもしれません。
とくにカタログのようなページ数が多い冊子は、いかに早く商品までたどり着けるか、
読者の心を離さないスピード感がポイントと言えます。
そのためにも、目次・ツメ見出し・索引を有効に使っていきましょう。
目次はページの最初に配置し、見出しをまとめて整理したものです。
ツメ見出しは読者が目的の内容を探しやすいよう、ページの余白部分に見出しが書かれています。とくにカタログにはじまる、辞書や専門書のようなページ数が多い書物に採用されているのです。
索引はカタログに記載されている商品・サービス・用語などの一覧を本の最後に載せています。巻頭の目次、各商品ページの余白部分(ツメ)に配置した見出し、五十音順に・アルファベット順の索引などから、読者が目的のページまでスムーズにたどり着けるな作りにすることが重要です。
構成は読者が見て分かりやすいように
カタログデザインでは構成が重要な要素です。
読者が見て分かりやすく、商品やサービスを理解できる構成が必要となります。
カタログの構成を考える際には「コンセプトページ」と「商品掲載ページ」を分けると考えやすくなります。
商品の特徴をおおまかに伝え、読者に商品をイメージさせていきます。
コンセプトページには商品ごとに作成する場合もあれば、商品の種類ごとにまとめてを作る場合もあります。商品量によって上手く使い分けていくと良いでしょう。
次に商品掲載ページです。
商品掲載ページにはコンセプトページで紹介した内容をもとに、各商品やサービスの写真・スペック・価格などを詳しく掲載していきます。1ページに8~10商品くらいが、読者が見て分かりやすく、イメージがしやすい情報量と言えます。ページ内に商品を詰めすぎると読者にストレスが掛かり、販売のチャンスを逃してしまうかもしれません。
以上、カタログの構成はコンセプトページと商品掲載ページに分け、それぞれ必要な内容を記載していきましょう。
カタログ制作をデザイナーに依頼する際のポイント
社内にデザイン部門があれば内製する手段もありますが、多くの場合は外部の制作会社に発注します。
その際、デザイナーはカタログ制作のプロではあっても、商品のことを熟知しているわけではありません。魅力的なカタログを作るためには、デザイナーとのコミュニケーションが重要です。
デザイナーに依頼する際のポイントは以下のとおりです。
- 掲載する商品やサービスの特徴を伝える
- 社内でのコミュニケーションは円滑に
- デザインで使う素材のイメージを共有する
それぞれについて具体的に解説していきます。
掲載する商品やサービスの特徴を伝える
前述したように、デザイナーはカタログ制作のプロではあっても、商品のことを熟知しているわけではありません。
カタログに掲載する商品やサービスをデザイナーに伝えて特徴を理解してもらうようにしましょう。そのためには、商品やサービスの長所を理解している必要があります。
初回の打ち合わせには、カタログご担当者様だけでなく、営業ご担当者様が同席されるケースもあります。
社内でのコミュニケーションは円滑に
カタログ制作進行中は、いろいろな課題が発生します。
社内の合意を得る場合や確認の際には、できるだけ具体的な言葉でやりとりした方がよい結果になります。
例えば、「制作会社からあがってきた誌面をもう少しスッキリさせたい」場合
↓
・文字を何割減らす
・文字をどの程度小さくする
・どの写真を削除する
このように「なにを」「どのくらい」修正するのかを、できるだけ具体的に話し合うとスムーズに進行します。
「どのように」修正するかはデザイナーに任せればOKです。
デザインで使う素材のイメージを共有する
商品写真だけでは魅力が伝わらない場合に、撮影や画像合成、またイラストを使用する場合があります。その際の参考にするために、使用シーンや設置の写真または図面なども一緒に共有するとよいです。
例えば、掃除機を掲載する場合、デザイナーには商品の写真だけではなく室内の写真も送るなど。背景が加わるだけで、実際に掃除するイメージが伝わってきます。
まとめ
この記事ではカタログ制作のデザインのポイントについて解説しました。
カタログはパンフレットと違い、商品紹介と注文がメインです。
紹介量も多いため、目的を明確にした上で検索性を意識していくのが重要になります。
そのためにも、目次・ツメ見出し・索引を有効に使っていきましょう。
読者が目的の商品までたどり着きやすくなります。
また、デザイナーへ依頼の際は完成品のイメージを細かく伝えましょう。
ラフシートを使うとより正確に思いが通じます
まずはカタログの制作意図をはっきりさせ、手順を踏んで完成に近付けていきましょう。