「会社案内」と聞いて、どのようなものを思い浮かべるでしょうか?
会社案内は、単なるチラシとは大きく異なります。企業の理念や歴史を語ることでブランドイメージを向上させることも、企業の取り組みを紹介することで企業への信頼や信用を得ることも可能なのです。
この記事では、ブランドイメージを伝えるのに有効な会社案内について、なぜ会社案内が重要なのかという原点から、会社案内の持つ目的と適したデザインについて、そして会社案内の制作手順やコツについてを解説いたします。
会社案内の重要性とは
会社案内は、ただ製品やサービスを並べ立てれば良いというものではありません。
カタログ作成の目的にもよりますが、会社案内は企業の「顔」となり得る重要なものです。会社案内に書かれる企業の理念や成り立ち、描くビジョンといった要素は、企業が市場でどのような立ち位置にいるのかを示します。
会社案内はただ情報を提供するためのツールではなく、企業のブランド価値を築き上げ、市場での影響力を高めるために役立てられるべきものです。カタログを通じて、企業は自身のアイデンティティを明らかにし、ステークホルダーとより強固な信頼関係を構築します。
ここからは、会社案内が果たす2つの役割について深掘りしていきます。
デザインやストーリーからブランドイメージを形成し、印象付ける
会社案内におけるデザインやブランドストーリーは、ブランドイメージを形成し、印象付ける役割を持っています。
デザインでは、色使い、フォントの選択、レイアウト、そして使用する画像やグラフィックに至るまでが一貫性を持ってブランドの価値観やメッセージを伝えるために選ばれる必要があります。高級なのか、親しみやすいのか、安全性が高いのか、流行の最先端なのか、デザインがブランドのイメージ作りに果たす役割は大きいのです。
一方で語られるストーリーも忘れてはいけません。ブランドの歴史や現在、そして未来へのビジョンをストーリーテリングの手法を用いて描くことで、読者はブランドの価値観を心に深く刻むことになります。
なお、長く印象に残る会社カタログのデザインについては下記の記事でも紹介しておりますので、参考にご覧ください。
詳細な情報を提供することで信頼や信用を獲得する
特に製品やサービスの紹介が主眼に置かれた会社案内では、詳細で透明性のある情報を提供することで、読者から信頼や信用を獲得することが可能になります。
安全管理体制や品質を高めるための工夫、原材料へのこだわりや製造工程の様子など、発信すべき情報は多岐にわたるでしょう。読者がどのような疑問や不安を抱くのか、事前にリサーチすることも必要になるかもしれません。
企業が自社製品に自信を持っていることを示し、ブランドの品質と信頼性を適切にアピールすることで、顧客は安心して製品を購入することができるようになります。
会社案内を制作する目的と適したデザイン
会社案内が企業にとってどれほど重要かがわかったところで、次に会社案内を制作する目的とそれぞれに適したデザインをご紹介していきます。
会社案内の目的は大きく以下のように分類することができるでしょう。
- 企業のアイデンティティを伝える
- 会社の価値観を伝え採用につなげる
それぞれの目的と適したデザインについて、詳しく見ていきましょう。
1.企業のアイデンティティを伝える
「会社案内」と聞いて真っ先に思い浮かべるのがこちらのカタログではないでしょうか。会社パンフレットとも呼ばれ、その企業の歴史やビジョン、理念や価値観、ブランドストーリーなどを伝えます。
読者として想定されるのは、顧客はもちろん、ステークホルダー、株主、そして従業員など、広い関係者が想定されるでしょう。
一度制作したら年単位で使い続けることになるため、制作は慎重に行われます。
企業の伝統やブランドイメージに沿ったデザインを選び、会社をイメージする色があればそれをメインカラーとして使用します。
2.会社の価値観を伝え採用につなげる
特に採用につなげるための会社案内が制作されることもあります。企業説明会などの場で求職者に配布することも考えられますし、大学や高校などの進路指導室に資料として送付することも考えられます。
求人をメインテーマにした会社案内の場合、企業理念やブランドの歴史を伝えることももちろん大切ですが、カタログを読んだ求職者が「その会社で働くイメージ」を湧かせることができるかどうかが大切です。そのためには、実際に働いている社員にインタビューをしたり、社員が働いている様子を撮った写真をふんだんに掲載したりするなどの工夫が必要です。
会社案内の制作手順と長く読まれるためのコツ
ここからは実際に会社案内を制作する際の手順と、長く読まれるカタログにするための制作手順のコツについてわかりやすく解説していきますが、カタログ制作の作業は基本的にカタログの制作会社やデザイン会社などと進めることが一般的です。
これからご紹介する制作手順についてはタクトシステムで実際に起こっている作業を例にご説明していきます。
会社案内の制作手順は大きく
- 企画・構成
- 誌面デザイン
- 折り方を決める
- データ作成
- 色校と印刷
という順番で行われます。
それでは詳しく見ていきましょう。
1.目的を見据えた<企画・構成>
コンセプトを決める
会社案内の役割の中で、どの目的で会社案内を作成したいのかを検討しましょう。
間違えやすいポイントとしては、デザインから決めてしまうことです。
会社案内を誰にどのような内容を伝えたいのかを決めることで、効率的に魅力的な会社案内を作れます。
展開や配布方法を考える
コンセプトと並行して検討する必要があるのが、会社案内が出来上がった後の展開や配布方法についです。
展示会や会社説明会で配布したり、営業や取引の時に渡したりする方法が一般的です。
最近では会社のホームページからダウンロードできるように、PDFに しておく場合も増えています。
より多くの方に会社案内を見てもらえるよう、デジタルにも対応することをおすすめします。
カタログのデジタル対応については次の記事で詳しく説明しています。
読者ターゲットとコンセプトを決める
コンセプトと目的が決まったら読者ターゲットとなるユーザーを明確にします。
ターゲットの年齢層や性別などのほかに、カタログの利用シーンも想定します。
掲載するコンテンツを決める
コンセプト作成の次に、掲載するコンテンツを決めます。
基本的な会社情報にプラスして、魅力が伝わるようなコンテンツがあると独自性が出ます。
また、採用ツールとして使用する会社案内の場合は、部署や先輩社員の働き方など社内の雰囲気が分かるようなコンテンツがおすすめです。
掲載するコンテンツの内容や量によって、会社案内のページ数・必要な写真やイラスト・サイズや製本方法が決まります。
タクトシステムではカタログのフルリニューアルや新規作成の場合、このコンテンツ内容も含めた企画提案を行う事も多く、企画・構成がいかに重要で大変な作業であるは、お分かりいただけるかと思います。
原稿を作成する
会社案内に載せるための素材を集めてから原稿を執筆します。社員が執筆するのか、社外に外注するのかによって費用や時間が異なりますので、予め決めておきましょう。
そのほか、企業ロゴや必要な写真・イラスト・図なども準備が必要です。
2.ブランドイメージを意識した<誌面デザイン>
全体の構成・予算が固まり、原稿がある程度揃ったら誌面デザインへと進みます。
・デザインの方向性はカタログ制作の目的に合致しているか?
・表紙のデザインはターゲットに刺さるか?
などに配慮して進めていきます。
特に重要なのが表紙のデザインで、表紙によって会社案内の中も見たいと思ってもらえるかどうか決まります。
表紙デザインの重要性についてはこちらの記事でも詳しく解説しておりますので、参考にご覧ください。
3.目的に応じた<折り方>
中綴じ冊子タイプ
中綴じ冊子は、基本のサイズがA4でページは8ページ、12ページなど4の倍数で構成するのが一般的です。
会社案内として人気のタイプであり、ページをめくって読んでいくスタイルとなります。掲載したい情報量に応じてページ数を調整できるうえに、写真や紹介文などを見やすく載せられることがポイントです。
折り加工タイプ
二つ折りや三つ折り、四つ折りなど、折り加工を利用したカタログもおすすめです。
冊子タイプとは異なり、簡易的な会社案内となりますが、コンパクトに伝えたい情報だけを掲載できることがポイントです。たとえば、商談で利用する場合など、じっくりとカタログを読んでもらう時間がないシーンでも、効率的に情報を伝えられます。
ポケットファイルタイプ
カタログをポケットファイルに入れるタイプも人気があります。
ポケットファイルの内側にポケットが付いているため、複数のカタログを入れたり、名刺を入れたりするときに便利です。
さらに、カタログや名刺のほか、DVDやノベルティを入れたい場合もポケット部分を活用できるため、相手に渡したいものが多いときにおすすめの仕様です。
4.随時確認・修正を行いながらの<データ作成>
デザインが固まったらDTPデータの作成を行っていきます。DTPとは原稿を紙面に落とし込んでいく作業のことです。
初校・再校・念校と確認をし、修正があれば赤字を入れて戻すという作業を行うことで、間違いがなくクオリティが高いカタログに仕上がっていきます。
DTPのデータ作成についてはこちらの記事でも解説しています。
5.少しの差も妥協しない<色校正から印刷へ>
本印刷前に、色校正を行い、色味の確認と最終確認をします。製品の色味には特に気を付けたいところで、ちょっとした配慮が大きな違いになります。
色校正の種類には複数の種類がありますが、予算と色味へのこだわりによってそのカタログに合ったものを選択してください。
校了になったら印刷、製本へと移り、カタログが完成します。
会社案内を作る時のポイント
ここからは会社案内をより魅力的に作るためのポイントを4つ紹介します。
1.会社案内を作る目的を明確にする
1つ目は、会社案内を作る目的を明確にすることです。誰にどのようなポイントをアピールするために作りたいのかを最初に決めておくことで、掲載するコンテンツやデザインなどが変わります。
また、決めた目的を会社案内を作成するメンバー全員で共有し、コンセプトから外れた内容を作成しないことで、やり直しなどのロスを防げます。会社案内の作成を外注する場合は、外注先にも目的やコンセプトを伝えましょう。
2.掲載するコンテンツは精査する
2つ目は、会社案内に掲載するコンテンツを精査することです。せっかく作る会社案内にはいろいろな情報を載せたいと考えがちですが、コンテンツが多すぎると何をアピールしたいのかが不明確になってしまいます。
そのため、最初に決めた目的に応じて必要なコンテンツを厳選しましょう。必要であれば、営業と求人など目的ごとに会社案内を分けて複数パターン作成することもおすすめです。
3.イメージカラーなどで印象的に
3つ目は、会社案内のデザインにイメージカラーなどを使って印象的にすることです。
会社案内は会社のイメージに合ったデザインにしましょう。
ただし、個性的なデザインを優先してしてしまうと読みにくくなってしまうので、あくまでもシンプルに分かりやすいデザインにしてください。
印象に残る会社案内の作り方については、次の記事で詳しく解説しています。
4.競合他社や過去の会社案内と比較する
4つ目は、競合他社や過去に作成した会社案内を比較したうえで、会社案内を作成することです。過去に会社案内を作成しているのであればその内容を確認し、現在の会社の状況と変更になっている箇所がないか確認します。
必要なコンテンツはそのまま流用しても問題ありませんが、目的に合っていないコンテンツは修正や削除しましょう。
また、競合他社の会社案内もリサーチすると、業界全体のトレンドや他社と比べた時の強みを知ることができます。
自社のアピールポイントを見つけ、どのように表現をしたら独自性を会社案内に盛り込むことができるのかを見つけるために他の会社の会社案内を利用してください。
会社案内の制作事例
ツカサ電工株式会社様
他社との差別化を図りたいというご要望で制作した会社案内です。
手にした瞬間から「他社とは違う」と感じさせるために、変形サイズや特殊印刷など、差別化の要求に応える手法を多彩に提案しています。
まとめ
この記事では、会社案内の重要性や目的別のカタログについて、そして制作手順についてご紹介しました。
会社案内は、時に企業のブランドイメージを左右することもあります。
顧客やステークホルダーにどのようなイメージを抱いてほしいのかを逆算しながら、戦略的にカタログ制作を行うことが大切です。
ぜひ、会社案内の制作にはこだわりを持って取り組んでみてください。企業のブランドイメージを伝える際の大きな武器になるはずです。
この記事で取り上げた参考記事