パンフレットは実際に⼿に取ってもらうことで、はじめて伝えたい内容が伝わるもの。デザインももちろん⼤事ですが、最後の⼀押しはデザインにあわせた⽤紙選び!
本記事では、⽤紙の種類の説明から実際のシーンにあわせた⽤紙の選び⽅までご紹介します。
目次
1.パンフレット・カタログ・会社案内によく使われる⽤紙
パンフレット
①商談⽤パンフレット
マット紙
直接⼿渡しする商談⽤パンフレットでよく使われるのはマット紙です。写真が映えますし、先⽅にお渡しして、メモをしてもらうこともできます。
②展⽰会配布⽤パンフレット
コート紙
展⽰会でパンフレットを受け取ってもらえるかどうかは⼀瞬の判断。だから、光沢感があって⽬を引くコート紙がオススメです。
③店舗⽤の設置型パンフレット
マット紙または上質紙
店舗の雰囲気に合わせて⽤紙を選びましょう。よく使われていて、⼿に取ってもらいやすいのはマット紙。ナチュラル感を演出したい場合は上質紙がオススメです。
④⾼級感を演出するブランドパンフレット
特殊紙
⼈⽣で⾼い買い物といえば、不動産、保険、⾃動⾞、スマホ・・・と⾔われるそうですが、⾼額商品や⾼級志向のブランドにはそれに⾒合った⽤紙選びが必要です。特殊紙の範囲は⾮常に広いので、どういった雰囲気が良いかを検討してから選びましょう。
⑤旅⾏・観光ガイドのパンフレット
コート紙
この場所に⾏ってみたい、体験したい、と思わせるには写真が命。発⾊の良いコート紙がイチオシとなります。
カタログ
ページ数のあるカタログの場合、表紙に使う⽤紙と、本⽂に使う⽤紙を分けることがあります。
① 10 ページ未満のカタログ
表紙と本⽂の⽤紙を分けるケースはほとんどありません。伝えたい内容に合わせて、⽤紙を選びましょう。
② 10〜50 ページ程度のカタログ
よくあるケースとしては、表紙と本⽂は同じ紙に揃え、表紙は少し厚め、本⽂は少し薄めの⽤紙にします。持ち運びやすく、ページをめくりやすい、という視点で⽤紙を選ぶことも⼤切です。⽤紙の厚みについては後述します。
【例】A4 32 ページ 家電カタログの場合
表紙(4 ページ分):コート紙 110 ㎏
本⽂(28 ページ分):コート紙 90 ㎏
③ 50 ページを超えるカタログ
50 ページを超えるようなカタログになると、商談時に使⽤すると同時に、先⽅に保管してもらうことも⽬的の⼀つとなります。そのため、表紙は厚⼿のコート紙や特殊紙を使い、本⽂は重くならないように薄⼿の紙を使うといった配慮が必要になります。
【例】A4 100 ページ ⼯具メーカーの総合カタログの場合
表紙(4 ページ分):マット紙 135 ㎏
本⽂(96 ページ分):マット紙 90 ㎏
会社案内、その他
① 会社案内・採⽤案内パンフレット
会社のブランドイメージにあわせて⽤紙を選びましょう。会社案内をお渡しする相⼿のことを考え、どういった印象を持ってもらいたいかによって使う⽤紙が異なってきます。名刺交換の相⼿に必ず会社案内を渡すわけではないとしても、名刺と会社案内の⽤紙を合わせておくとイメージを統⼀しやすくなります。
【例1】A4 8 ページ 運送会社の会社案内
コート紙 110 ㎏
【例2】A4 20 ページ システム会社の採⽤案内パンフレットの場合
表紙(4 ページ分):特殊紙(ヴァンヌーボ) 150 ㎏
本⽂(16 ページ分):マット紙 110 ㎏
② ダイレクトメール
ダイレクトメール(DM)は、⼤きく分けてハガキサイズの場合と、封筒に⼊れる場合の2 種類に分けられます。定型サイズは100×148 ㎜となりますが、圧着ハガキや⼤判サイズのDM もありますので⽤途にあわせて⽤紙を選びましょう。
●ハガキサイズの場合
郵送の途中で折れ曲がることのないように厚みのある紙を選びます。
⽤紙の厚みでいうと、少し薄くてもいいDM なら180 ㎏、しっかり⾒てもらいたい場合には220 ㎏を⽬安に考えます。
●封筒の場合
封筒で送る場合に優先するべきことは開けてもらいやすくすること。
そのため、中に⼊れるパンフレットはもちろんですが、封筒の⽤紙選びも⼤切です。
封筒を開けることなくパンフレットを直接⾒せたい場合には、OPP 封筒という⼿もあります。
また、郵送する場合には、サイズと重さによって郵送料⾦が変わりますので、内容物にあわせて⽤紙の厚みを調整して重さを規定内に収めるようにしましょう。
郵送料⾦について、詳しくは以下をご覧ください。
https://www.post.japanpost.jp/send/fee/kokunai/one_two.html
③ 教材、研修資料、マニュアル
書き込むことが予想される教材や研修資料、マニュアルには、上質紙がオススメです。ページ数がある場合には、表紙は厚めの⽤紙を選びましょう。また単⾊印刷の場合には表紙だけ⾊上質紙を使⽤するケースも多くあります。
【例】A4 20ページ 新⼈研修資料 の場合
表紙(4 ページ分):上質紙110 ㎏
本⽂(16 ページ分):上質紙 70 ㎏
その他、200 ページ以上の場合には書籍⽤紙を選ぶという選択肢もあります。⼀般的に⽤紙は⽩を基本としていますが、書籍⽤紙の中には、⻑時間⾒ていても⽬にやさしいよう⻩⾊味がかった⽤紙もあります。
2.⽤紙の種類とそれぞれの特徴
次に、パンフレットによく使われる⽤紙を種類別に紹介します。

コート紙

なめらかで、光沢のある仕上がりが特徴。発⾊がいいので、写真をきれいに⾒せたい場合やビジュアルを重視したい場合には、この「コート紙」がオススメです。
製品写真をしっかりと訴求したい、⾷品のシズル感(おいしそうな感じ!)を出したいなどという場合には、パンフレットを⼿に取った際の第⼀印象が⼤事になります。コート紙の中でも特に光沢の強いものを「アート紙」と呼ぶこともあります。
コート紙の中にも種類がありますので、ビジュアルイメージを⼤切にして、写真の再現性にこだわりたい際はデザイナーと相談して⽤紙を決めるようにしましょう。
マット紙

コート紙に⽐べると発⾊が控えめになるので、落ち着いた印象や、上品さを求めるパンフレットの場合には「マット紙」がオススメです。またツルツルしていないため、書き込みしやすい⽤紙ですので、メモ欄やアンケートを⼊れたパンフレットにも最適です。
学校案内で説明会の際に配るパンフレットや、システム概要をまとめたパンフレットなど⽂字情報が多いものは、ビジュアルと同時に“正しい情報を⾒やすく伝える” ことが求められます。前述のコート紙のように写真を重視する必要がない場合には、マット紙の落ち着いた質感がブランドイメージを引き⽴てます。
上質紙

表⾯コーティングがされていない⽤紙です。コピー⽤紙やノートの⽤紙も上質紙の⼀種なのでイメージしやすいのではないでしょうか。
コーティングされていない分、コート紙、マット紙に⽐べて印刷インクの染み込みがよいため、写真の見映えは正直期待できません。ただその分、ナチュラルで落ち着いた印象やシンプルで親しみやすいデザインのパンフレットには上質紙がマッチします。
猫や⽝のペット⽤品のほのぼのイラストのパンフレットや、環境保護やサステナビリティをテーマにした展⽰会で配布するパンフレットなどで、温かみのあるデザインや、親しみやすさを前⾯に訴求したい場合には「上質紙」がオススメです。
特殊紙

その名の通り、特殊な紙です。凸凹のある紙やざらざらした紙、メタリックな紙や半透明な紙などたくさんの種類があります。⽂房具屋さんにいくと、レザック紙や和紙、トレーシングペーパーなどが並んでいますが、これらは特殊紙に分類されます。
印刷物としても特殊な仕上がりになりますので、⾼級感の演出や他社と差別化する際には「特殊紙」がオススメです。限定商品のプロモーションやページ数のあるカタログの表紙だけを特殊紙にするといったケースで使⽤されることが多いように思います。
注意点としては、やはりそのお値段。コート紙、マット紙、上質紙に⽐べると圧倒的にコスト増になります。
3.⽤紙の厚みと料⾦の⽬安
印刷⽤紙は「㎏」の単位で表します。
これは連量とも呼ばれ、四六判(788mm×1,091mm)サイズの紙1,000 枚の重さをkg で表したものです。⼀般的に厚い紙ほど料⾦が⾼くなりますが、特別薄い紙や加⼯された紙など厚さとは違うところで価格が⾼くなる場合もありますので注意が必要です。
⽤紙の厚み (連量) | 端的に⾔うと・・・ | コスト | ⽤途 |
55〜70kg | 薄くて軽量。且つ、折りやすいため⼤量配布に最適。透けやすいので注意が必要。 | 薄すぎる場合はコスト⾼になることもあるので注意 | チラシ、フライヤー、書籍の本⽂など |
70〜90kg | 少し薄めでページものの本⽂に最適。⼿に取りやすくページをめくりやすい。 | ⼀般的で⽐較的安い | チラシ、パンフレット、冊⼦の本⽂など |
90〜135kg | 普通の厚さ。どんな種類の制作物にもマッチします。 しっかりした印象で、安⼼感や存在感を演出できる。 | 普通。流通量も多いのでそれほど⾼くない | パンフレット、カタログ、会社案内など |
135〜180kg | 重厚感と⾼い耐久性。⼿に持った感じもしっかりしている。 折加⼯の際は注意が必要。 | 厚い分お⾼め | カタログの表紙や⾼級感のある印刷物 |
180kg 以上 | かなり厚め。カードやハガキなどにも使われる。また、特別感を出したいケースに最適。 | 特殊な分類になってくるのでかなり⾼い | ハガキ、招待状、パッケージ、特別な印刷物 |
まとめ
パンフレットに使⽤する紙は、基本的にはコート紙、マット紙、上質紙、特殊紙に分類されますが、⽬的やデザイン、⽤途によって選び⽅が変わります。また予算があって作るものですので、⽤紙の厚みと料⾦のバランスも考えて、最適な選択を。迷ったら、デザイナーや印刷会社に相談するのもひとつの⽅法です。⼀番いいのは⾒本紙を取り寄せて実際に⾃分で触ってみること。好みもありますので、渡す相⼿がどう思うかを⼀番に考えて、ベターではなく、ベストな⽤紙を選びましょう。