こんにちは、みなさん!
2022年の登場から日が経ち、だいぶ落ち着いてきた2023年10月現在の『ChatGPT(チャットジーピーティー)』
デザインの業界も常に進化し、新しいツールとテクノロジーが登場しています。
その中で、生成AI(人工知能)の一つであるChatGPTがどのようにデザインに革命をもたらすのか、考えたことはありませんか?
このブログは『テキストベースのChatGPTで実際のデザインはできる?』という疑問に挑み、実例をお見せしながら検証いたします!
ズバリ結論から言いますと、このChatGPT、結構デザイン制作に活用できます!
色々なシーンで使えるので、制作物に関わる皆さん! 使わない手はないですよ~
目次
ChatGPTの概要
『ChatGPT』は、OpenAIによって開発された人工知能ベースのチャットボットです。
このモデルは、大量のテキストデータから学習し、人間と同様の自然な会話を生成することができるのがウリ。
その応答は一貫性があり、文脈を理解する能力を持っており、問題を解決するため必死に頑張ってくれます。
質問への応答や文章生成がなんとなく人間っぽいのも笑えます。
会話するように質問を投げかけると、それにチャットで返す様に答えてくれる・・・
本当に自然でスムーズです。
会話をするように問題を解決してくれるChatGPT。
しかし、お遊びだけでなくちゃんと仕事にも活かせるのです。
デザインにおけるChatGPTの利点
近年AI技術が進歩し、グラフィックデザインプロセスに新たな次元をもたらしています。
このChatGPTは、デザインにおける多くの利点を提供し、さらに他のAI技術と組み合わせることで、驚くべき成果を生み出す可能性を秘めています。
テキストベースのChatGPTですが、モノは使いようということで、様々な活用法が出てきました。それらをご紹介いたします。
デザインアイデアの生成ができる
テキストベースのChatGPTですが、デザインにおけるアイデア出しにはうってつけです。
例えば、特定のテーマやスタイルに合ったデザインコンセプトやアートワークのアイデアを出してもらい、それを画像生成AIと組み合わせることで具体的なビジュアルを作り出すことが可能になります。
まずは例として、絵に起こす前に『方向性』と『構成案』を考えてもらいました。
デザイン内の文章の生成ができる
例えばクライアントがノープランで「すべてお任せしたい」との事であれば、先ほど例にあげた構成案をもとに、キャッチコピー、本文、リード文の作成、さらにはそれらのリライトを任せることができます。
私の場合は誤字脱字の校正もChatGPTにお任せします。
最終的には人間の校正をいれますが、ChatGPTがけっこう拾ってくれるのはありがたいです。
アイコンなどのネタを考えてもらう
デザイン作業でよく使うのが、こういったアイコン(ピクトグラム※)。
これらもテキストベースのChatGPTに考えてもらいます。
何気にコレ結構使えるんですよね。小さなことですが、メチャクチャ効率が上がります。
※ ピクトグラム
ピクトグラムは、情報を視覚的に伝えるための図像や記号のことを指します。文字や言語に依存せず、一目でその意味を理解できるようにデザインされています。例えば、トイレの男女別のマークや、禁煙・喫煙のマークなどがピクトグラムとして広く認識されています。特に公共の場所や国際的な場で、言葉の壁を超えて情報を伝えるために利用されます。
考えてもらったものを頭で整理して、人間の手でデザインに起こします。
Googleなどの検索エンジンでヒットしたデザインがしっくりこない時とかに、この手が使えます。メチャ使ってます。本当に便利。
ChatGPTの案を元にピクトグラムを作成、サイン(看板)をデザインしてみましました。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
詩的なキャッチコピーの作り方
コツとしていろんな場面で使える「水平思考で考えて」というプロンプト(命令文)があります。
SNSでどなたかが発信していて知ったのですが、このキラーワードを入れるだけで、めっちゃドラマチックでクリエイティブな答えが返ってくるんです!
小説、ゲーム等のシナリオ、特にキャッチコピーの改善ぶりは感動ものなので、一つ例をあげます。
は? 天才ですか? 笑
このプロンプト本当に使い勝手がいいですね。とっても詩的になりました!
その他、
「クリティカルシンキングで考えて」
「プロセス思考で考えて」
「冒険的思考で考えて」
「厨二病思考で考えて」
などなど、色々試してみたらとても面白い内容となりました。
是非厨二病で試してみてください。
自分の場合はつらつらと出てきた答えをテキストにまとめて、
眺めて、そのまま使ったり、合体したりして使います。
グラフィックデザイン/Webデザイン等への適用
さて、いよいよ本題の「ChatGPT」と画像生成AIの「Midjourney※」、「Stable Diffusion」のMac版「Diffusion Bee※」を使ってデザインを行います。
「Stable Diffusion」はDiscord(ディスコード)というアプリ/各ブラウザを使って画像生成するのですが、「Diffusion Bee」の方はマシンにインストールしてスタンドアロンで動かすタイプで、CPUはM2推奨とあるので結構ハードルが高めです・・・
というわけで私は画像生成にはハイスペックPCがいると会社を説得して、『M2Pro メモリ32GのMac mini』を用意しました 笑
新しいOSとAdobe系の最新を使いたいのと、動画編集もやるので奮発しました。
インテルi5からのバージョンUPなので色々と別次元。
話はそれましたが、MidjourneyとDiffusion Beeの詳しい取り扱い方法はネットに沢山情報があるので各自調べてください。
※ Midjourney
Midjourney(ミッドジャーニー)は、テキストの説明文から画像を作成する独自の人工知能プログラム。現在は有料利用枠のみの提供となっています。商用利用可能ですが、できない場合もあります。
※ Diffusion Bee
Diffusion Bee(ディフュージョン ビィー)は、画像生成AI『Stable Diffusion(ステイブル・ディフュージョン)』をベースに作られたスタンドアロン型の画像生成AIです。インターネット接続なしに使えます。AIモデル用ファイルを入れてテイストを自在に変えることができます。商用利用可能ですが、できない場合もあります。
さてここで実際にチラシを作っていきましょう。
例がお酒ばかりですが、お題は「鹿児島のクラフトビール工房」のチラシです。
step
1プロジェクトの目標と要件を定義する
最初に、デザインの前段階であるマーケティングの部分について、プロジェクトの目標や要件を明確に定義します。
どのページや画面をデザインする必要があるか、どんな内容を盛り込むかなどChatGPTに指示してもらいます。
【命令文】
「鹿児島のクラフトビール工房」立ち上げに関わることになり、まずはポスターを作成することになった。
1000部印刷して、鹿児島市内を中心に張り出す予定。本場ドイツ仕込みの、指宿にあるビール工房です。プロジェクトの目標と要件を定義してください
下記がChatGPTに出力してもらった答えです。
【目標】
工房の知名度を高める | ポスターを通じて、鹿児島市内および周辺地域でビール工房の存在を広く知らせ、注目度を高める。 |
工房の特徴を伝える | ポスターを通じて、工房が本場ドイツ仕込みであること、指宿にあること、そしてクラフトビールの品質と工程の特徴を伝える。 |
来訪を促進する | ポスターを見た人々に工房を訪れてビールを楽しんでもらうことを促進し、工房の売り上げを増加させる。 |
ポスターの効果的な設置 | ポスターを効果的に設置し、ターゲット市場にリーチすること。 |
【要件】
デザイン | ポスターは魅力的で目を引くデザインである必要があります。ビール工房のロゴやビジュアルアイデンティティを組み込んでください。 |
工房の名前 | "鹿児島のクラフトビール工房" 本場ドイツ仕込みであることの強調 |
カラーとロゴの一貫性 | チラシのデザインに工房のカラースキームとロゴとの一貫性を持たせること。 |
サイズと数量 | 1000部のポスターを印刷します。ポスターサイズは、効果的な展示と収納ができるように標準的なサイズを選びましょう(一般的なポスターサイズはA3またはB2など) |
コンタクト情報 | 問い合わせ先やソーシャルメディアリンクなどのコンタクト情報を含めること。 |
ポスターの設置場所 | ポスターは鹿児島市内を中心に張り出します。交通の要所、飲食店、観光スポット、大学キャンパスなど、多くの人がアクセスする場所に掲示します。 |
制作期間と予算 | ポスターの制作期間と予算を設定し、印刷と展示の準備を間に合わせるためのスケジュールを立てます。以上の目標と要件を基に、魅力的で効果的なチラシをデザインし、工房の成功に向けて広告キャンペーンを開始する準備を進めていくことが大切です。 |
また、ポスターの成功を評価するための指標や予算も検討し、プロジェクトを効果的に進めていくことが重要です。
だそうです。
まさに正統派な提案ですね。本来はここを詰めていきますが、
例ということで、これをガイドラインとしてデザインを進めていこうかと思います。
step
2ChatGPTを活用してアイデアを生成する
ChatGPTを使って、デザインに関するアイデアやコンセプトを生成します。
「構成案を考えてください。A4両面フルカラーです。」と命令文を打ちます。
このデザインコンセプトに従って、ビール工房のポスターを制作することで、工房の特徴や魅力を視覚的に伝え、多くの人々の興味を引くことができるでしょう。
とのことです。自信満々ですな。
ChatGPTに言われるがままに作成してみましょう。
step
3画像生成AIを利用してラフデザインを生成する
ChatGPTが提供したアイデアに基づいて、画像生成AIを活用してビジュアルを生成します。
これにより、テキストアイデアを具体的なデザインに変換します。
ここは「Midjourney」の方が優秀でしたので、彼にやってもらいました。
【ロゴ】
短い命令文だとアメリカンな某バイクメーカーみたいになってしまいました笑
「Flat,Low Detail,Minimal,Simple」といったプロンプトでできたのが右の絵です。
本来は色々考えてもらって、それを参考に手書きでデザインします。
提案なので最低10案ほど^^;
今回は「例」なのでちょっと弄ってこのまま使います!
【メインビジュアル】
無駄を省いた分、ずいぶんシンプルになりました。
プロンプトは下記です。
beautiful design,beer workshop,poster,Flat,Low Detail,Minimal,Simple
指宿のシンボル「池田湖」を入れてみました。
なかなかにアメリカンです笑
このまま使ってもいいし、イラストレーターさんに描いてもらうラフとしてもよいでしょう。
step
4サイトのカラーパレットを定義してもらう
カラーパレットを定義してもらいます。
微調整前提でアイデア出しくらいにはなりますね。
それなりの情報を与えてあげればちゃんと答えてくれます。
私の場合は、回答の信憑性については常に疑って、調べてから採用するようにしています。
何かの歌詞ではありませんが、平気で嘘をつくので・・・
それを踏まえての配色を施す。
色、配色の考え方はこちらとこちらを読んでいただければ理解が深まると思います。
step
5アタリ画像生成をしてもらう
撮影を観点に入れ、ダミーの画像をAI生成してもらいます。
Adobe Photoshopの画像生成塗りつぶしか、同じくAdobeのFirefly(ファイアフライ)でダミー画像を生成します。
以前は膨大なフリー画像から探してましたが、撮ラフ※ くらいであればAI画像生成で十分です。
プロンプトを突き詰めれば本番でも使える画像になりそうですが、それはまた別の機会にでもお話ししようかと思います。
Fireflyについてはこちらをみてもらえば理解できると思います。
※ 撮ラフ
撮ラフとは「撮影ラフ」のことで、撮影に入る前の段階で、どのような構図にするか、アングルにするかなどを決め、それを手書きやイメージ画像で提示したモノです。これにより、後の作業がスムーズに進むだけでなく、クライアントやチーム内でのビジュアルの共有、意思疎通を図ることも可能となります。
step
6ダミーの文字から実際にテキスト生成する
WebサイトがあればWebサイトからの引用ですが、今回はChatGPTに命令し、文章を生成してもらいました。
step
7最終的なデザインは手動で
最終的にはやはり人間の手で制作していきます。
大事なのはここからで、やはりデザイナーの腕にかかっています。
しかしながらここまでの工程をAIでだいぶ省略化できました。
AIは、デザイナーアシスタントとして活用していけばいいのです。
その他の使い方
Adobe Illustrator/Photoshop/AfterEffectsでのスクリプト※生成もChatGPTは一役買っています。
というか得意分野じゃないですかね、コレは・・・
※ スクリプト
一連のデザイン作業を自動化したり、効率を向上させたりするために作られたプログラムです。JavaScript(ジャバスクリプト)やAppleScript(アップルスクリプト)というプログラミング言語で動作します。
半信半疑でChatGPTに「選択したオブジェクトにランダムに色をつけるというスクリプトを作ってください」と命令したところ・・・
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// 選択したオブジェクトにランダムな色を設定する関数
function applyRandomColorToSelection(selection) {
// 選択された各オブジェクトに対してループを実行
for (var i = 0; i < selection.length; i++) {
var object = selection[i];
// オブジェクトがパスアイテムであることを確認
if (object.typename === "PathItem") {
// ランダムなRGB色を生成
var randomColor = new RGBColor();
randomColor.red = Math.floor(Math.random() * 256);
randomColor.green = Math.floor(Math.random() * 256);
randomColor.blue = Math.floor(Math.random() * 256);
// オブジェクトにランダムな色を設定
object.fillColor = randomColor;
}
}
// 選択したオブジェクトを取得
var selection = app.activeDocument.selection;
// 選択したオブジェクトにランダムな色を設定
applyRandomColorToSelection(selection);
-------------------------------------------------------------
と謎のプログラム言語が提案されました。
しかもっ!!
丁寧に使用方法まで・・・
本当にすばらしいですね!!
プログラムは全くわからないので、これができる時点で感動いたしました。
ちゃんと動きます。
気になった方は上記のテキストからコピペして実際にやってみてください。
明度指定や彩度指定もできましたが、答えが怪しいものが上がってきました。
今後の課題でしょうか・・・
今後のAIがグラフィックデザインにもたらす可能性
近年、AIと機械学習の技術は、目まぐるしいスピードで発展しています。
その中でも、グラフィックデザイン分野においてAIの進化は顕著であり、新たな可能性を開いています。
昨日にはなかった技術があっさりと公開されていて、毎日目が離せない状況です。
自動化と効率化
AIは、繁雑な作業を自動化し、デザイナーの生産性を向上させる助けとなります。
例えば、レイアウトの自動生成、カラーパレットの提案、フォントの選択など、デザインプロセスの多くの側面でAIがデザイナーをサポートします。
クリエイティビティの拡張
AIは、デザイナーのクリエイティビティを拡張するツールとしても活用されます。
自動生成でアートやデザインのアイデアを提供してもらい、それを基にさらにデザイナーが創造的なアプローチを展開することができます。
パーソナライゼーション
AIは、ユーザーの好みや行動に基づいて個別に調整されたデザインを提供することが可能です。
パーソナライゼーションとは、特定の個人やユーザーに合わせてカスタマイズされた体験やサービスを提供することを指します。
つまり、一般的なものではなく、個別の人に適したものを提供することです。
ビッグデータの活用
AIは大量のデータを解析し、トレンドや洞察を抽出する能力を持っています。
デザインの決定においても、市場動向や競合情報を活用し、戦略的なデザインの決定を支援します。
今後、より重要度が増してくる分野なのでAIのサポートが欠かせないものとなるでしょう。
クオリティの向上
AIは、画像処理技術や画像生成モデルを活用して、高品質なビジュアルコンテンツを生成することができます。
提案された案を、自分自身は「アートディレクター」として吟味。人間の手によってアレンジします。
これにより、デザインの品質が向上し、さらにもう一段階上位のサービスを提供できるのではないかと思います。
まだまだ詰めが甘い部分もありますが、AIと機械学習はグラフィックデザインに革新的なアプローチを提供し、デザイナーに新たな視点を提供してくれます。
今後、AIとグラフィックデザインの融合はますます重要になるのではないでしょうか?
まとめ
前記の通り、私はChatGPT等のAIが出てきたことにより、よりデザインの質が向上するのではないかと感じます。
しかし、クリエイティブなアートやデザインには人間の感性と創造性が欠かせず、AIが完全に人間のデザイナーに取って代わることはまだ難しいかなと思うところもあり、
ようは「モノは使いよう」かなとも思います。
AIによるアシストでデザイン作業は大幅に時間短縮、
そしてよりハイクオリティなデザインへと進化していくでしょう。
ちなみにですが個人的にやっている音楽制作でもAIを活用しています。
音楽業界もAIで大騒ぎですね。
例えばインタビュー動画のBGM等のような簡単なものは「SOUNDLAW」というサービスで作成。
しかしながら、ガチのレベルの高い楽曲はAIで作成するのは無理なので、私は作曲編曲の際は下記のツールを使ってサポートしてもらっています。
・コード進行生成(Am→E→Cm7みたいなもの)→Scaler2/ChatGPT
・歌詞生成→ChatGPT
・AIによるヴォーカル生成(歌ってくれる)→Synthesizer V
・AI MIXダウン(各パートを自動調整)→Neutron/Ozone9
これらは笑っちゃうほどクオリティが高いんですが、すごい世の中になったもんだと思います。
ついでにYouTubeにUPするMV(ミュージックビデオ)のシナリオや構成、メタタグ等のSEO対策もChatGPTまかせです笑
自動化できるところは彼らにまかせて、ここぞというアナログライク、特に人対人のような大事な部分に重点をおけばより良いものができるのではないでしょうか?
私はAIで楽をしようではなく、AIでさらにデザインの質を上げると考えたらいいのではないかと思います。
最近はイチから考えるのに頭を使っていたのが、AIの進化によって、プロンプトを考える、良いものを選び混ぜる、といった部分に頭を使っているような気がします。
そんなAI戦士らの筆頭、ChatGPTですが、一年後、二年後はどう進化しているか予想もつきません。
先日ソフトバンクの孫正義さんが講演した「AGI」の動画を拝見したのですが、『AIは10年以内に人間の頭脳を超える』
らしいです。すごいような、恐ろしいような。
ターミネーターの世界がそこまで来ている・・・・
私自身も、他のAIサービスを使ってみて、もっとグラフィックデザインに応用できないか研究していきたいと思います。
さらなるデザイン新領域に入って行こうとしている、タクトシステムのデザインチームですが、最先端のテクノロジーを使うとともに、元々のデザインスキルや知識をフルに活用して業務にあたっています。
こうして欲しい、他の手段はないか、見栄え良く分かりやすく、といったご相談は随時承りますので、是非ご相談くださいませ。
\コンテンツ制作はタクトシステムのイロドリにお任せください/