カタログの活用法

トヨタの廃止で話題に! それでも紙カタログが必要な理由

2024 年1 月29 日、自動車メーカーのトヨタが紙カタログを廃止すると発表し、業界内外で話題を呼びました。デジタル化の進展と環境意識の高まりを背景に、多くの企業が紙カタログの削減や廃止に踏み切る動きが広がっています。

紙カタログの廃止や削減が進む背景に、環境負荷を軽減したいという思いがあるのは間違いありません。これらの活動は、持続可能な社会を目指す企業としての姿勢を示し、社会的責任(CSR)を果たすためにも重要です。

一方で、あくまでも個人的な意見になりますが、車やバイクの紙カタログには、情報提供や売上貢献の枠を超えた特別な価値があるように思います。製品の魅力を写真集のように美しく伝えられる紙カタログは、顧客にとって、ただの資料ではなく、記念品やコレクションとして愛される存在になっているのではないでしょうか。このような背景を考えると、紙カタログの廃止を決断するには、企業側も相当な時間を要したのではないかと推察します。

実際、当社のお取引先でも「完全廃止までは踏み切れないが、印刷部数を減らす動きは進めている」と紙カタログの在り方を見直しつつも、その価値を大切にしているお客様が多くいらっしゃいます。

紙のカタログがBtoB(企業間取引)に与えるメリット

1.製品の質感や物理的な特性を伝えたい場合

例: 高級家具、建材、または繊維製品カタログ

紙のカタログでは、特殊な印刷技術や紙質を用いることで、製品の質感や色味をより正確に表現できます。特に、デジタル画面では再現が難しい微妙な色合いや触覚的な感覚を伝えるのに適しています。

また、素材サンプル(布や紙片など)をカタログに直接添付することも可能です。

2. 顧客がデジタル環境に慣れていない場合

例: 伝統産業などのカタログ

カタログを手に取る顧客が、紙のカタログの方が使いやすいと感じるケースがあります。特に、インターネット接続が不安定な地域やスマホ・パソコン操作に慣れていない顧客がターゲットの場合、紙のカタログが信頼性の高い情報源となります。

3. 長時間の閲覧や詳細な検討が必要な場合

例: 複雑な機械部品や建築資材のカタログやFAX注文を前提としたカタログ

紙のカタログは、長時間にわたる閲覧や比較検討に適しています。目が疲れにくく、複数のページを同時に広げて比較することが容易です。1ページあたりの情報量が多い場合、紙のカタログは全体像を把握しやすいです。

4. ブランドイメージの向上を目指す場合

例: 高級ブランドやデザイン性が重視される業界

高品質な紙や印刷技術を使用したカタログは、ブランドの高級感や信頼性を強調するツールとして機能します。特にBtoBの取引では、カタログ自体が企業のステータスや価値観を伝えるうえで重要な役割を果たすことがあります。

5. 展示会や対面営業での即時配布が必要な場合

例: 見本市や業界イベントでの商談

紙のカタログは、その場で手渡しでき、顧客がすぐに情報を参照できるため、対面営業において非常に有効です。デジタル版の場合、QRコードやリンクを共有する必要がありますが、相手がすぐにアクセスできない可能性もあります。

6. 保存性や記録としての役割を重視する場合

例: 長期間保存が必要な製品情報や価格表

紙のカタログは、物理的に存在するため、データ消失やデジタルデバイスの故障によるリスクがありません。また、書き込みが可能なので、顧客がメモを残して利用することもできます。

7. 感情的な価値や親しみを与えたい場合

例: 長年の顧客や特別な顧客への配布

紙のカタログに、手に取る感覚や重厚感があり、顧客に対して特別感や丁寧さを伝えることができます。特に、信頼関係を重視する場合に有効です。

ハーバード・ビジネス・レビューの研究

紙のカタログを使用した顧客は、メールのみのマーケティングを受けた顧客に比べ、購入率が24%向上したという結果が報告されています。

これは、紙のカタログが視覚的・触覚的な体験を提供し、受け取った顧客がより深く製品に関与する傾向があるためとされています。

この研究は主に消費者向け(B2C)の事例ですが、B2Bにおいても、紙のカタログが製品の魅力を視覚的に強調し、商談を有利に進められる可能性を示唆しています。

How Paper Catalogs Remain Relevant in a Digital Age

紙のカタログとデジタルのハイブリッドの提案

紙のカタログの廃止までは決断できないという場合は、紙カタログの物理的な魅力を活かしつつ、デジタルの利便性や即時性を活かす方法がおすすめです。動画などのデジタルコンテンツを組み合わせることで、顧客に対して多角的なアプローチを提供できます。このハイブリッド方式は、購買意欲を高めるとともに、顧客のエンゲージメントを向上させます。

紙カタログとデジタルカタログ

紙カタログは、その手ざわりやデザインの美しさでブランドの印象を強く残せるため、高級感を演出したい製品には、より効果的です。一方で、デジタルカタログは、動的な要素や動画を加えることができ、付箋機能が備わっているケースも。紙カタログからデジタルカタログへの誘導を組み込むことで、顧客はオンラインで詳細な情報を調べたり、購入手続きを進めたりできます。

紙カタログとWeb

製品の魅力を直感的に感じてもらうためのツールとして紙カタログを残し、Webをリアルタイムでの情報提供や最新の製品情報、在庫状況把握のためのデータベースとして機能させます。紙カタログにQRコードやリンクを組み合わせることで、顧客が必要に応じてWeb上で詳細情報にアクセスでき、購入手続きをオンラインでスムーズに行えるようになります。これにより、紙とWebの強みを活かし、顧客の体験を豊かにできます。

まとめ

トヨタが紙カタログを廃止することを発表し、注目を集めました。

それでも紙カタログでしか伝えられない製品の魅力や付加価値は大きいと思います。手に取って感じられる質感やデザインは、顧客に信頼感や高級感を与える貴重なアドバンテージです。カタログの印刷部数を減らす一方で、紙とWebをうまく組み合わせて、より豊かな顧客体験を創出してみませんか。

  • この記事を書いた人
営業スタッフ

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