何となくわかる画像のお話しシリーズ

綺麗な写真を印刷したらくすんでしまった件!!

何となくわかる画像のお話し


印刷物の制作には何かと問題が発生するもの。
素晴らしいシーンを撮影した写真を印刷したら、思いもかけない色で印刷されてしまった経験はないでしょうか?

とあるDTP制作会社のこちらのオフィスで、そんなトラブルが発生したようです。

博士~
どうしたのかね?
綺麗な写真だから表紙に選んだんだけど……
ふむふむ
印刷したら……なんかくすんでしまった
どれどれ
画面ではこんなに鮮やかなイメージなのに……

空や海なんかがくすんで濁ってしまった
……全体がもっさりした感じがするね
何が原因なの?
モニターと印刷では色の再現方法が違うのは知っているかな?
そうなの?
モニターは自分が光を放って色を再現するが、印刷は紙が光るわけではないじゃろ?
あ~確かに
白い色を再現することを想像してみよう
うん
モニターは自分の光を増やして白を再現するが、印刷はインクを減らし紙の地色を白にする

白を再現するモニターと印刷物の違い

あ~
次に、黒い色じゃな
うんうん
モニターは自分の光を減らして黒にするが、印刷はインクを混ぜて増やして黒にするじゃろ

黒を再現するモニターと印刷物の違い

なんだか全く逆のやり方ね
その仕組みの違いで再現できる色に違いが生まれてくる
仕組みが違うから、パソコンと印刷物では色が違ってしまうの?
そうじゃな
どれくらい違いがあるかを、2Dの図にしたものがあるので見てみよう
ふんふん

これは人が見ることのできる全ての色を図にしたものじゃ
ふむふむ

この赤い線の中は、モニターで再現できる色の範囲じゃ。sRGBと呼ばれる規格でもある
モニターだと、見える色の中ではこの範囲しか再現できないってこと?
そうじゃ
範囲外の色は再現できないの?
残念ながら……
ずいぶん切り捨てられちゃうんだねぇ……
そうじゃな……次に印刷で使われるCMYKの範囲を見てみよう

緑の線の内側がCMYKの範囲だよ
こっちもずいぶん狭いのね
二つの範囲を重ねると、モニターと印刷物との再現できる範囲の違いがなんとなくわかる

範囲が重なっていない部分は、お互いに同じ色を再現できない
緑や青い色の範囲に結構な違いがあるみたい
モーちゃんの写真は海の写真だから青い部分が多いよね
だからよけいに色が変わってしまったのねぇ……
ちなみsRGBやCMYKなど、それぞれ色を再現できる範囲の事をカラースペース(色空間)と呼ぶよ
カラースペース……
覚えておくと、何か問題があった時に役立つかもしれんよ?
今回のまとめとしては……

『綺麗な写真が印刷されたらくすんでしまった原因』
1、モニターと印刷物では色を再現する仕組みが異なる
2、仕組みが異なるので再現できる色に違いがある
3、色を再現できる範囲をカラースペースと呼ぶ
4、異なるカラースペースが再現できる範囲の違いで色が変わる場合がある

と言ったところじゃな
再現できない色があるのはわかったけど……もっと綺麗に印刷する方法はないものなの?
……
……
いくらか改善できるかもしれん
ほんと?
変換と補正でな……
変換と補正?

問題の原因がモニターと印刷物の再現方法と色の再現範囲の違いにある事を知ったモーちゃん。
それでもなんとか写真を綺麗に印刷したいと考えます。
次回、『画像の変換と補正ってなんだ?』へ続きます。

To be continued・・・

こちらは画像の関連記事です
綺麗な写真を印刷したらくすんでしまった件!! 画像補正のいろいろ パート2
画像の変換と補正ってなんだ? 画像補正のいろいろ パート3
画像の変換と補正ってなんだ? パート2 カラープロファイルってなんだ?
画像補正のいろいろ カラープロファイルのちょっとした実験
解像度について解説:印刷に必要な画像解像度をピクセル数で簡単に確認する方法 dpiとはなにか:印刷に使われる網点、線数とdpiの関係性を解説
画面解像度と画像の解像度の関係を解説。メディア別のおすすめ解像度を紹介

カタログの画像加工のご相談はこちら

  • この記事を書いた人
フルカワの画像

フルカワ

タクトシステム制作本部スタッフ。画像加工と補正のエキスパート。高度な技術を駆使し、再現の難易度の高い画像にも対応している。 近年ではAI技術も活用し、効率的かつ高品質な制作を実現する。 社内では、困っているスタッフにもわかりやすく説明をしてくれて助けてくれる先生のような存在。

-何となくわかる画像のお話しシリーズ