カタログ制作は依頼して終わりではなく、都度担当者とのやり取りを繰り返して、望む形のカタログを作り上げていくことになります。
基礎知識や用語がわかれば、具体的な依頼もできるようになりますので、理想通りのカタログを作るための一助として、参考になれば幸いです。
目次
カタログ制作会社に依頼するときに知っておきたい基礎知識や用語
それでは、カタログ制作会社に依頼するときに知っておきたい基礎知識や用語について、具体的に挙げていきます。
用語の全てを完璧に覚える必要はなく、こういったものがあるということと、積極的に自身で用語を使わずとも、制作会社の担当者とのやり取りで出てきた際に内容が理解できれば十分です。
追加: カタログ制作の全体像を先に知りたい方は、こちらをご覧下さい。
カタログ制作段階における基礎知識や用語
カタログ制作の打ち合わせ~原稿作成の段階で登場する用語や基礎知識を集めました。
台割
台割とは、制作するカタログの全ページについて、事前に作っておく目次のようなもののことをいいます。ページ割とも呼ばれます。
言い換えれば、印刷物の設計図です。
カタログ制作の際には、まず全体の構成を決定するところからスタートするので、
・全何ページとなるのか
・どのページにどのような内容が入るか
について先に決めておく必要があります。
台割はお客様が作成することが多いですが、全体の構成に迷う場合はディレクターやプロデューサーへ相談することをおすすめいたします。
台割の作り方には2種類あり、実際の冊子のように見開き、左右2ページで作るパターンと、エクセルなどを使って表でまとめるパターンがあります。ページ数が多い場合は、後者が向きます。
DTP
「DTP(ディーティーピー)」とは、「Desktop Publishing(デスクトップ パブリッシング)」の略であり、パソコン上で印刷物のデータを制作することです。
カタログ制作においては、デザイナーが紙面のフォーマットを作り、DTPオペレーターがフォーマットに沿って素材をはめていきます。
インデザイン (Adobe InDesign)
インデザイン(InDesign)とは、Adobe社のDTP(デスクトップパブリッシング)アプリケーションです。
書籍や冊子などページ数の多い制作物を作成するときに使用されます。
DTPオペレーターがフォーマットに沿って画像やテキストなどの素材をはめていきます。
イラストレーター(Adobe Illustrator)
イラレと略称されるイラストレーター(Illustrator)は、インデザインと同じくAdobe社が出しているアプリケーションです。レイアウトの作成やデザイン、線や図形を組み合わせたイラストの作成に最適なツールです。
チラシやリーフレットなどページ数が少ない制作物を作成するときに使用されます。
その他、デザイナーがカタログのフォーマットを作成したり、ロゴやアイコンなどの素材を作り出します。
フォトショップ(Adobe Photoshop)
フォトショップ(Photoshop)は、画像編集アプリケーションです。
カタログに使用する写真の切り抜きや色の調整、複数画像の合成をするときに使用します。
インデザイン、イラストレーター、フォトショップはカタログ制作において欠かせないアプリケーションとなっています。
アタリ
紙面のレイアウト、デザインについてイメージしやすいように、仮画像を配置しておくこと、また配置される画像のことをアタリといいます。
ラフの提出時や初校の段階で画像の手配が間に合わない場合などはアタリを入れます。
スペースの確保をしたり、デザインのイメージをつきやすくするためのものです。
校正
校正は、印刷する原稿に載っている文字や画像、ページレイアウトや色などに間違いや不具合がないか確認し、あらかじめ修正することをいいます。
似た言葉で「校閲」がありますが、これは原稿などの内容についての誤りや不備をチェックするもので、校正とは似て非なるものです。
最初の校正にかけるものを「初校」といい、実際にできたデータと原稿を突き合わせて検討します。初校に一度修正が入ったものを「再校」といいます。
カタログ製作?制作?カタログにおける校閲・校正とは。| タクトシステム株式会社
校了
カタログ制作は提出と確認を3回ほど繰り返して徐々に完成させていきますが、「校了」とは、修正する箇所がなくなり、全て完了したことを指す用語です。
校了と似た言葉で「責了」というものがありますが、これは責任校了の略語です。
責任校了とは、一部誤りがあるものの、この誤りを修正者の責任によって修正することを条件にして、校正を終了させるという意味で使われます。
色校正
校了が出て、データ上の準備が整うと、色校正に入ります。
色校正とは刷ったものの色の出方をチェックすることをいい、色校とも略されます。
商品写真を掲載する場合が多いカタログにおいて、現物と印刷物の色が大きく違えば、ユーザーは不信感を抱きます。
また、少しくすんだ色味になるだけで印象が大きく変わってしまうのがカラーの印刷物の特徴なので、実際の印刷で使用する紙と印刷機で行い、仕上がりに差異がないようにします。
カタログの画像補正の基礎知識や用語
カタログ制作では数多くの画像を使用します。
プロのカメラマンが撮影したデータであっても、画面上で確認したものと印刷したものでは、色の出方が異なりますので注意が必要です(後述)
補正
補正とは、画像補正のことをいい、撮影した画像データの色味や明るさ、コントラストなどを調整・加工することをいいます。
補正に使う代表的なアプリケーションはフォトショップ(Photoshop)です。
CMYK(シーエムワイケー)
CMYKは、紙などの印刷物に使う発色方式です。
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックを指し、これら4色によって表現されることをいいます。
印刷物の白以外の色はこの4色で構成されており、画面上で表示される色とは仕組みが異なるため、再現できる色に違いが生じて若干異なる色味になります。
これは、CMYKが色が混ざるほど暗くなる減法混色であるためです。
RGB(アールジービー)
RGBは、画面上(パソコンやスマートフォン、テレビ)で使う発色方式です。
レッド、グリーン、ブルーを指し、これら3色によって表現されることをいいます。
この3色は光の三原色であり、色が混ざるほどに明るくなる加法混色なので、全ての色が重なる部分は白く見えます。CMYKと比べ、色が鮮やかに見えます。
また、RGBは3色それぞれの光の強さによりさまざまな色を表現するため、モニターやデバイスの違いなどによって見え方が変わる点も特徴です。
色校正を見て、実物の商品との差にあまりにも違和感を感じるようでしたら、カタログ制作会社に相談することをおすすめいたします。
画像については下記のブログをご覧ください。
カタログの印刷・製本段階の基礎知識や用語
原稿の校正も、色校正も終わると、ついに印刷がスタートします。
中綴じ
中綴じは製本方法ではスタンダードな方式です。
見開きで印刷した印刷物を重ねていき、中心で半分に折り、その折った部分を針金や綴じ糸などで綴じる製本方法です。
見開きの印刷物を重ねての印刷になるため、表面裏面それぞれ2ページずつ、つまり4ページ単位でないと印刷ができません。
もし端数が出る場合は、白ページなどを追加して4の倍数になるように調整します。
ただし中綴じは半分に折る工程があるため、ページ数の多い冊子では、用紙の厚みの関係で不向きな製本方法です。
アジロ綴じ
アジロ綴じは無線綴じを改良した製本方法です。
まず、無線綴じとは、折丁という複数ページを1枚の紙にまとめたものを複数重ね、背を裁断してそれぞれを1ページずつの紙にした状態で、まとめたページの背に製本糊をつけて、固めることで綴じる製本方法です。主にページ数の多い印刷物で利用されます。
しかし無線綴じは、糊部分がはがれてしまうことで表紙と本文部分が離れてしまったり、本文部分が落ちてしまったりする可能性があります。
これに対し、アジロ綴じは、折丁の背を裁断するタイミングで、全てを切り落とすのではなく一部をつなげておくことで各ページをつなぎとめ、本文ページの脱落を防ぎます。
アジロ綴じが機能するためには、折丁の裁断と糊付けがズレることなく行われる必要があり、製本所の質によっては逆に抜け落ちやすくなる可能性があるため注意が必要です。
FSC認証紙
FSC認証紙とは、FSC(森林管理協議会)の認証を受け、適切に管理された森林の木材を利用して作られた紙のことをいいます。
市場に流通する紙の中には、貴重な原生林などから違法伐採された木材や、過剰伐採が行われている人工林の木材を利用して作られたものもあるため、知らないうちに地球の環境破壊に加担しないようにする目的があります。
さまざまな紙メーカーでFSC認証紙が作られており、印刷所の案内でもFSC認証紙の利用が選べるなど、認知度が高まってきている国際的な認証制度です。
奥付
印刷物の最後につける著者名などの情報を載せているページや箇所のことをいいます。
奥付は印刷し出版するものに対する責任の所在を明確にする目的があります。
一般的に記載される項目としては、冊子の正式なタイトル、発行日、著者名、発行者、発行所、企業の連絡先、印刷所などが挙げられます。
まとめ
カタログ制作において必要となる基礎知識と基礎用語についてご紹介しました。
これらの用語を使いこなす必要はなく、担当者とのやり取りをスムーズにして理想のカタログ制作に役立てることが一番の目的です。
良いカタログが完成するよう、心から願っております。