RGBのデータを印刷するにはCMYKへのカラー変換が必要になります。
写真を綺麗に印刷したいと考えたこちらのオフィスで、変換作業について少し踏み込んだ話をしているようです。
博士~
変換と補正の話じゃな
そう、もっと綺麗に印刷できるんでしょ?
前回説明した通り、カラースペースの違いで完全な再現は難しいんじゃよ
でもなんとかなりそうと……
いくらか改善できるかも……じゃな。とりあえず『変換』について話を聞いてもらえるかな?
了解!
モニターと印刷物では色の再現方法が違うと説明したね
全く逆の再現方法だったよね
そうじゃな。で、その違いの辻褄を合わせるためにモニターのカラースペースから印刷物のカラースペースに色を置き換えなければならない
置き換える?
前回のカラースペースの図を使ってみよう
乱暴な言い方をすれば、モニターのカラースペース……この場合はsRGBをCMYKのカラースペースに変形してしまう感じじゃ
ふむむ?
イメージし易いように、写真をカラースペースにはめ込んでみる
!?
で、CMYKに変形してみる
めっちゃ歪んじゃってるけど!?
ちなみに、カラースペースは色を図にしたものなので実際に変換したときこんな感じで写真が歪むわけではないよ?
そうなったらビックリだよ……
ただ、オリジナルの色から異なる色に置き換えられてしまうので、その差を視覚しやすいようにこんな表現にしてみたよ
あくまでイメージということね……
というわけで、sRGBのカラースペースからCMYKのカラースペースに色情報を変形する……これが『カラー変換』なわけじゃが……
こんな歪んでいて良いの?
ダメなので、歪まないように変換しなければならない
よく使われる方法として……
1.歪まないようにデータを小さく入れてみる
2.位置関係をできるだけ動かさず、変換先のカラースペースからはみ出た部分を押し込む
といった方法がとられるので、ためしてみよう
写真の歪みはないね
でもオリジナルより随分小さくなっちゃったよ?
そう、この方法だと歪みは無い半面オリジナルの色の広がりや深みが失われる場合があるんじゃ
写真の端にいくほどカラースペースに押し込んだときの歪みが発生しているね
歪みはあるけど、こちらの方がオリジナルに近い感じがする
この方法だとオリジナルの色から位置関係をあまり動かさないので、色の再現が良くなる場合がある
この二つの方法で実際にカラー変換してみよう
パッと見た目それほど差がないみたいだけど……
そうじゃな。モニターのsRGBカラースペースと印刷物のCMYKカラースペースではお互いに再現できない部分があったじゃろ?
だから方法を変えても変わらないってこと?
微妙になることが多いじゃろうな
こんな写真を試しに変換してみよう
おお! これは結構違う。2の方が赤い花がオリジナルに近い!
元々赤い花はsRGBとCMYK両方のカラースペースで色を再現できるのじゃが……
1の方法はCMYKのカラースペースに情報を小さく入れてしまうため、色が変わってしまった
2の方法では色の位置関係を変えずにすむので、オリジナルの色を再現できたようじゃな
カラースペースの重なり具合が随分影響してくるのねぇ……というか……
ふむ?
これ、もう2の方法だけで良いような気がするけど?
ところがそう言うわけにもいかんのじゃ
そうなの?
こんなグラデーションを変換してみよう
このままだと分かりにくいので、変換結果だけ明るくしてみる
グラデーションの滑らかさをみてほしい
??なんだか2の方が波打ってる?
2の方法はカラースペースに色を押し込むときに歪みが生じる。そんな歪みがこのグラデーションの波打ち状態に出ている
ほえ〜
綺麗なグラデーションを再現したい場合に2の方法を使うのは注意が必要じゃよ
なるほど
この二つの変換方法は、1が『知覚的』方法と言い、2を『相対的』方法と言うよ
『知覚的』『相対的』
写真の絵柄や再現したい仕組みによって最適な方法を選ぶ、それが『カラー変換』という作業じゃよ
結構めんどうなのね
ここまでをまとめてみよう
『カラー変換について』
1.データを印刷するにはCMYKのカラースペースに色を置き換える必要がある
2.色を置き換える方法には、『知覚的』『相対的』という方法がある
3.最適な方法で色を置き換えるのが『カラー変換』
と言ったところじゃな
最初のモーちゃんの写真は色々考えて『相対的』方法で変換してあるよ
最適な変換方法でもやっぱりこれなのよね
カラースペースの差があるからじゃね
もしかしてその差をどうにかするのが『補正』?
そうじゃな。最適な変換を行い、うまくいかないところを改善していく……
それを聞きたい!
ちょっと話が長くなったので、次回続きを聞いていただくとしようかの
了解!
カラー変換についての理解を深めたモーちゃん。
写真を綺麗に印刷するために『補正』へ望みを託します。
次回、『変換と補正ってなんだ? パート2』へ続きます。
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