前回の解像度の解説で、印刷物の解像度について興味を持ったモーちゃん。
今回こちらのオフィスでは、印刷物に使用される網点や線数と画像の解像度の関係、
dpiなどの用語について、深く知識を深めるようです。
印刷の線数、網点と解像度の関係
「印刷する方が画面より必要なピクセル数が多い」と言ってたけど、その話を詳しく聞きたい
了解じゃ。印刷物の解像度を理解するために、まずは印刷に使われる線数と網点について、話を聞いていただこうと思うよ
この並んだ網点たちが画像を表現しているわけじゃね。網点は規則正しく列になっていて、その列が『線』じゃよ
覚えてる。ピクセルが多いほど解像度が高くなって、細かい表現ができるって
そうじゃね。『線』とは印刷におけるピクセルのようなもので、線の数が多ければより解像度が高く、きめ細やかな表現ができるんじゃよ
画像データの解像度じゃなくて、印刷物自体の解像度ってこと?
そうじゃよ。例の画像は、1inchの中に175本の線が並んでいるので、175線の解像度をもつ印刷物というわけじゃな
1inchの中に並んでいる線の数を線数と呼ぶよ。単位として、lpi(lines per inch)を使用する場合もあるよ。
lpi……ふむふむ。1inchって、だいたい2cmだっけ?
よく見るとこの網点、ピクセルと違って大きさが揃ってないようだけど?
お、良いところに気づいたね。印刷はインキの強弱で濃淡を表現できないのは知っていたかな?
全体を均一な濃度で印刷する仕組みなんじゃ。全面ベタ塗りしているイメージじゃな
網点が表現するグラデーションと用紙の関係
うむ。網点の大きさが変わると、網点同士の隙間が変化して、紙の白い部分は見える量が変わってくる。 そうなると、見た目はどうなるかな?
網点が小さくなると、隙間が増えて白い部分が増えるから、見た目は薄くなりそう
網点が大きくなると、隙間が減って白い部分は減るから、見た目は濃くなりそうね!
そうじゃね。つまりは、網点の大きさが変わることによる密度の変化が、印刷の濃淡を表現しているということじゃよ
網点密度の変化が濃淡を表現しているなら、より多くの網点で微細な変化をつけることで、さらに精細できめ細やかな印刷ができる、ということが言えるじゃろ?
わかる。つまり網点の列、線が多い方が網点を多く使えるから表現がよくなるってことね!
そのとおりじゃ。例として175線の画像と100線の画像を見ていただこう
うんうん。線数が印刷の解像度だってことは理解した! そうなると、175線よりさらに線数が多い方が品質は上がるの?
上がる場合が多いよ。高精細な表現を求めたい写真集や画集などでは200線、300線といった印刷をする場合もある
あるよ。使用する紙がインキを吸いやすいと、網点がにじんで大きくなってしまう。にじみの干渉に配慮した隙間を空けるため、線数を落として印刷する場合があるよ。新聞などは100線で印刷している場合が多いけれど、紙の影響を考えた上で線数を選択しているのじゃよ
インキのにじみかぁ、なるほど。じゃあ線数が高ければ良いというものでもないのね
そうじゃね。印刷会社の方にまかせておけば、使用する紙に適した線数で印刷してくれるので問題ないと思う。
例えば、ツルツルとコーティングされている紙はにじみも少ないので、175線以上の高めな線数で印刷されておるし、新聞紙ほどではないけれど、少しザラついた紙はやや低めの150線くらいで刷られることが多いかの。
それと、175線は人の目で見たときに、網点があまり気にならない印刷の解像度ということになっている。じゃが、もし気になるという場合は、線数を増やせないか相談してもよいと思う
線数は使用する紙の条件などで制限される場合があるので、利用するサービス先に確認をお忘れなく、じゃ
dpiと印刷物に必要な画像の解像度
線数と網点を理解してもらったので、印刷に必要な画像の解像度の話にはいろうかの
印刷で使用するために必要な画像の解像度は、1inchあたりの線数、網点を作成するために必要なピクセルの数になるよ
線数と密接な関係があって、必要な線数の2倍が必要なピクセル数になる
例に出ている175線の印刷物だと、175線の2倍で1inchあたり350ピクセルあれば良いとされている。単位としては、dpi(dots per inch)を使うよ
dpiと線数の関係
線数の2倍必要ということは、もしかして175線より多い線数だと必要なdpiも増える感じ?
dpiが決まったら、1inchあたりのピクセル数を使用サイズに掛けて、画像全体で必要なピクセル数を確認するのか……ちょっと面倒ね
前回例に挙げた、
10cmで1400ピクセルの画像は、175線で必要なピクセル数350dpiなので活用してほしい
あ、なるほど。175線までの印刷物に使用する画像のサイズ感というか、ピクセル感はつかみやすいね! 線数が変わっても計算しやすそう
必要なピクセル数に足りないデータを入稿すると、解像度不足で粗い画像で印刷されるから気をつけるんじゃよ
了解。線数とdpi、ピクセルの関係がわかったから注意する!
今回のまとめ
1.1inchの幅に印刷できる線の数を線数と呼び、線数が多いほど解像度が高くきめ細やかな表現ができる。1inchの幅に並んでいる線の数を線数と呼び、単位に、lpi、lines per inch(ラインズパーインチ)を使う場合もある
2.線は網点の列である。網点は網点同士の密度の変化でグラデーションを表現する。
3.dpi、dots per inch(ドットパーインチ)は画像を印刷するとき、1inchあたりの線数、網点を作成するために必要なピクセルの数。
4.印刷の線数によって必要なdpiは変わる。必要なdpiは線数の2倍で計算する。175線に必要なdpiは350dpiになる。
今回は印刷物の解像度を掘り下げたけど、次回はパソコンやスマートフォンなどの画面の解像度と、画像の解像度の関係について話をしていこうかの
メディアそれぞれに必要な解像度があり、見た目の品質に関わるので、ぜひ聞いていただきたい
印刷に関わる線数と、dpiと画像のピクセルの関係を理解したモーちゃん。
今度は印刷以外のメディアの解像度について興味をもったようです。
次回、『画面解像度と画像の解像度の関係を解説。メディア別のおすすめ解像度を紹介』に続きます。
To be continued・・・