会社案内は、販促を目的として制作するカタログとは違い、自社に対する興味関心を惹くこと、共感を得ること、また、ファンを獲得することを主眼に置いたツールです。
そのなかでも、表紙のデザインは、企業イメージに大きな影響力があり、内容に興味を持ってもらえるかの重要なファクターとなります。
企業イメージに合わせたうえで、更に好印象を与えるデザインが会社案内の表紙には求められています。
目次
会社案内の表紙のデザインが重要な理由
会社案内は、企業イメージアップはもちろん、目指している方向性や将来像、新事業領域への取り組み、どの商品に力を入れるかなど、最も伝えたいことをビジュアルで語らせることもできます。
他社の会社案内より目を引くためには、読み手となるターゲットに「面白そう」「自分にとって役立つ情報が載っていそう」と思ってもらうことが重要です。
会社のイメージを左右する
自社のイメージの刷新やサービス展開が変わる際に、会社案内のデザインが変更される場合があります。
それほど、会社案内が企業イメージに与える影響は大きいのです。
会社案内の顔である表紙のデザインはその会社“らしさ”が最も出るところであり、会社の価値観やアピールポイントを感じさせる重要なポイントです。
会社のイメージは、短くて数年、もしかすると今後その人の人生の中で変わることがないかもしれません。
だからこそ、会社へのイメージを左右する力がある会社案内の表紙デザインは重要といえるのです。
表紙のデザインで中身を見るかどうかが決まる
会社案内の表紙のデザインは、最初に目に入るものです。
表紙に興味を惹かれるかどうかで、実際に手に取って読むかが決まります。
読み手に選択肢が用意されている中で、会社案内を読んでもらうためには、表紙のデザインが他のものと比べて優れている必要があります。
ただ目を引けばいいというものではありません。その会社の全体像を伝えて、会社の品格に相応しいものが求められます。
目新しさだけで手に取っても、会社自体への興味に繋がらないのであれば、ターゲットにリーチする目的が最大限達成されたことにはなりませんので、中身も一緒に見てもらうにはどうするかという視点が重要です。
デザイナーに相談したうえで作り上げていきましょう。
会社案内の表紙デザインのパターン
手に取ってもらえる表紙とは、同業他社の会社案内と横並びになったとしても、目に留まり、役に立ちそうだという雰囲気を醸し出すものになります。
そのためにはビジュアル(視覚効果)をしっかり吟味することが必要です。写真やイラストだけでなく、キャッチコピーやロゴマークもビジュアル要素と考えます。
一般的にデザイナーがデザインを検討する際は、以下のようなことを意識します。
・企業ロゴ周辺に十分な余白を取ること
・印象的なビジュアルの組み立て
・読みやすいキャッチコピー
・認識しやすいメリハリのある配色といったことを意識します。
これを踏まえたうえで、表紙デザインにはいくつかパターンがありますので参考にしてみてください。
写真ベース
写真ベースの表紙デザインでよく使われるのは、風景写真と自社の製品の写真です。
風景写真で構成する場合は、他の会社案内などと雰囲気などが被らないように、複数の写真を組み合わせるなどの加工で、会社の持ち味や個性が出るように編集します。
また、普段、一般の人が見ることのできない工場の様子など、より詳しく知りたいと思わせる風景写真を選ぶ場合もあります。
製造メーカーなどで、主力製品がある場合はその製品の写真を使用することがあります。
イメージベース
主にサービス事業を展開しており製品を持たない場合は、事業に関連したイメージを用いてデザインを作成することがあります。
例として化学メーカーは幾何学模様、製図を行う会社は図面をイメージしたデザインを用いるなど、その会社の特徴が伝わりやすいものを素材としてデザインしていきます。
この場合は、イメージをメインに使用しつつ、下記で紹介するコーポレートカラーや企業ロゴも同時に用いて、複合的かつ効果的なデザインを組むことが多いといえます。
コーポレートカラーベース
企業にコーポレートカラーがある場合、メインカラーとして使用します。
コーポレートカラーには企業の個性統一の意図もあり、それぞれのカラーには役割など、選ばれた理由があります。制作会社にデザインを依頼する際には、コーポレートカラーの成り立ちや、企業の価値観を共有しておくとよいでしょう。
企業ロゴベース
企業ロゴのみのデザインにするためには、ある程度の認知度が必要です。さらに、ロゴについてのガイドライン(VI規定)がある場合は、取り扱いに注意をしながらデザインをしていきます。
イラストベース
手作り感・親しみを感じさせる目的などでは、柔らかいタッチの手書きイラストは効果的です。
フリーイラストの使用や新規発注をすることが一般的ですが、パブリックドメインを用いた事例もあります。
パブリックドメインとは、創作者の没後、定められた著作権などの権利の保護期間が過ぎ、誰でも使うことができるようになった創作物のことで、著作者が著作権を放棄した場合にパブリックドメインになります。権利の保護期間は国により異なりますが、日本では原則70年です。
商品イメージベース
自社の主力商品をメインにデザインする商品イメージベースも、自社の強みをわかりやすくアピールすることができて効果的です。
例えば、粉末や液体の調味料などでは、商品“そのもの”の見た目よりも商品パッケージの方が認識されやすい場合があります。
商品そのものの写真よりも、世間に認知されているイメージを利用するデザインです。
会社案内の表紙デザインを依頼する際の注意点
会社案内の表紙デザインを依頼する際に、必ず忘れてはならない点があります。それは、作りたい会社案内のコンセプトに沿っているかどうかという点です。
この点は、都度チェックするようにしましょう。そのほかの注意点についても紹介します。
依頼時に事前に用意しておくモノ
・RFP(提案依頼書):目的、予算、ターゲット(読み手)、仕様など要望をまとめたもの
・VI規定(ロゴマークや配色の意味もわかれば調べておく)
・ライバル会社の会社案内
・過去の自社の会社案内の変遷がわかるもの
・具体的な希望があればビジュアルイメージのサンプル
特に、VI規定は制作会社が依頼する会社を知るために重要なものです。会社の理念や将来像を、会社案内に反映させるためにも準備しておきましょう。
依頼時に事前に決めておくコト
・新しい会社案内を作る目的
これはとても重要です。企業イメージを刷新したい場合と、会社案内が古くなったために刷新する場合では出来上がるデザインは大きく変わります。そのため、会社案内を作る際には制作目的を依頼する会社と共有しておきましょう。
・誰がデザインを決定するか
役員クラスが確認するのか、担当者レベルでの確認となるかにより、デザインのふり幅が大きく変わります。「誰が決定するのか」も依頼する会社と共有しておきましょう。
・何を軸にするか
人を伝えるのか、技術を伝えるのかなど、何を軸にするかをできるだけ絞り込みましょう。ビジュアルのモチーフ(主題)、イメージ、メッセージなど表現したい優先順位を決めることも重要です。
まとめ
会社案内の表紙のデザインは会社のイメージにとって重要です。
読み手が手に取って初めて見るものは表紙のデザインであり、企業イメージを大きく左右します。
効果的な会社案内を制作するためにも、表紙のデザインはどのような目的でどのようなターゲットにリーチしたいのか、また、自社のどのようなものをアピールしたいのか、会社案内に関連する項目を制作するまでに明確にしておきましょう。
ロゴなどの使用規定であるVI規定についてもチェックしておくと役に立つでしょう。