何となくわかる画像のお話しシリーズ

画像補正のいろいろ パート2

何となくわかる画像のお話し

撮影された環境によって写真は赤くなったり青くなったり、思ったような色調に仕上がらない場合があります。
このような写真の状態を『色かぶり』と言いますが、それらの写真には色を修正するなど補正作業が必要になってきます。
こちらのオフィスでは、『色かぶり』の補正作業について少し踏み込んだ話をしているようです。

博士~
色かぶりの話の続きじゃな
補正のやり方だったよね
そうじゃね、ではこれを見てくれるかね?

バラ?
バラじゃね。……これは色かぶりしていると思うかね?
特にそんな風に見えないけれど?
では、ちょっと引いて見てみようかの

あ、赤かぶりじゃない?
なんでそう思ったかの?
なんとなくホラ、赤いバラを撮影するのにピンクの背景って違和感あるし、葉っぱがなんとなく濁ってる気がする
おぉ! 鋭いのぉ。これはかぶりの無い画像をわざと赤かぶりに加工した画像なんじゃ、元の画像を見てみよう

ほらほら、当たってた!
ただ、背景はピンクであった可能性もあるじゃろ?
そうだね。実際に撮影に立ち会ったわけじゃないから、本当のところはわからないよね
背景の色で判断できないとなると、葉の濁りくらいじゃが、それも主観じゃからの
確かに……じゃあ、博士ならこんな時、どう色かぶりってどうやって判断するの?
残念じゃが……撮影された実物を見たわけではないから、ワシにも判断がつかん
え~! 補正できないでしょ?
そうなんじゃ。写真が色かぶりをしているか、していないか、その判断は結構難しい
でも、何かしら方法があるんでしょ?
……これはグレースケールという物なんじゃが

37の階調に分かれていて、白と黒、グレーの基準として写真撮影の際に使う用具じゃよ
ほ~
撮影の際にグレースケールを被写体の側においておくと、撮影された時の色かぶりの状態が判断し易くなる
あ、なるほど撮影された物がなくても、コレは手元に置いておけば参考見本になるというわけだ
流石じゃね、そういうことじゃよ。ためしに先ほどの写真に、仮想になるがグレースケールを置いて色かぶり具合を見てみよう

一目瞭然
では、この状態から色かぶりを補正していこう
お願いします
考え方としてはグレースケールを正しい白、黒、グレーの状態にしてあげることじゃ
ふむふむ
白、黒、グレーの正しいバランスはRGBで言えば、3色同じ数値になっている状態

色かぶりの無い状態でのグレースケールのRGBの数値は、1段目がR=255.G=255.B=255で、15段目R=130.G=130. B=130、37段目がR=0.G=0.B=0になっている

色かぶり状態のグレースケールのRGBの数値は、1段目がR=227.G=174.B=206で、15段目R=110.G=85. B=100、37段目がR=1.G=0.B=1になっていて、かぶりの無い状態とくらべるとRGBのバランスが崩れている

グレースケールのかぶりの無い状態のバランスになるように画像ソフトで修正する。同じ写真内のグレースケールのバランスが整えば、写真全体のバランスが整うじゃろ。これが色かぶりの基本的な補正のやり方じゃ
なるほど、考え方はシンプルだね!
そうじゃよ。ただ、写真の中にグレースケールの様な基準となる物がそうそう有るわけではないよね
そんな時はどうするの?
探すよ
探す?
うむうむ。写真の中に基準となり得そうな白や黒、グレーを探すんじゃよ
例えば?
こんな写真がある

なんだか全体的に紫? 青っぽく見えるね
なぜそう思ったかね?
う~ん。本物はどうかわからないけどコンクリの部分はこんなに青くないんじゃないかと思うけど

ワシも同感じゃ。青かぶりなんじゃと思う。実際にRGBの数値を見てみると、コンクリートの部分(A)や湯沸かし器の金属部分(B)、それと黒(C)であろう部分を見るとやはりバランスがとれていないようじゃ

コンクリートの部分や湯沸かし器の金属部分などを基準にしてRGB3色のバランスを修正してみたよ
なるほど、こんな感じで写真の中から基準になりそうな色を探して修正するんだね
雲の白じゃったり、機械関係の金属やコンクリートなどはグレーの場合が多いから、判断基準に使うことが多いかの。経験則で本来はバランスがとれていると思われる物を物を探すんじゃ。で、今度の写真じゃが……

……これは丁度良いと思う
ワシもそう思う。中央の看板はおそらく白じゃろうからバランスが良さそうじゃ。道は石畳かの? こちらをグレーと考えて見るとこちらもバランスが整っているように見えるね

RGBの数値を見てみると、やはりバランスがとれているようじゃ
さて、このようにRGBのバランスを整える補正のことを『グレーバランスを整える』と言ったりするよ
グレーバランスを整える
色かぶりと補正の話はこんな感じじゃが、モーちゃんがこれから利用する写真を選ぶ時の参考になると良いの
基準の色を探す様にすると、写真の見方が変わるかも
なによりじゃ。では、今回をまとめてみようかの

『色かぶりの補正について』
1.写真内の白、黒、グレーのRGBのバランスを確認し、色かぶりの具合を確認する
2.色かぶりの補正は、白、黒、グレーのバランスを揃える
3.RGBのバランスを整えて補正することを『グレーバランスを整える』と言う

といったところかの
オッケーです
モーちゃんが写真撮影をする時はグレースケールを利用すると良いのじゃが、商品撮影ならともかく風景写真や人物の撮影時には少々物が小さすぎる
手のひらサイズだね
白とわかる物があれば、ある程度色かぶりの度合いが判断できるので、白い画用紙など利用して基準にするのも方法の一つじゃね。精確な白では無いが手に入りやすいし、サイズも自由に変えられるしの
あ~なるほど
前回話したカメラの補正機能も、基準とする白い物があると利用し易くなるよ
了解です。利用してみます
さて、色かぶりの話もしたので、次回は写真の明るさについて話を聞いていただこうと思うよ
明るさ? 見た目でわかるのでは?
その見た目を判断する基準があったら良いかと思ってな
今回のグレースケールみたいに?
そうそう
了解! 次回もお願いします!

色かぶりの補正についての話を聞いたモーちゃん。
基準となる色を見つけることで写真の状態を理解する方法を覚えました。
次回は写真の明るさについて話をすることになりそうです。
『画像補正のいろいろ パート3』へ続きます。

To be continued・・・

こちらは画像の関連記事です
綺麗な写真を印刷したらくすんでしまった件!! 画像補正のいろいろ パート2
画像の変換と補正ってなんだ? 画像補正のいろいろ パート3
画像の変換と補正ってなんだ? パート2 カラープロファイルってなんだ?
画像補正のいろいろ カラープロファイルのちょっとした実験
解像度について解説:印刷に必要な画像解像度をピクセル数で簡単に確認する方法 dpiとはなにか:印刷に使われる網点、線数とdpiの関係性を解説
画面解像度と画像の解像度の関係を解説。メディア別のおすすめ解像度を紹介

▶︎カタログの画像加工のご相談はこちら

  • この記事を書いた人
フルカワの画像

フルカワ

タクトシステム制作本部スタッフ。画像加工と補正のエキスパート。高度な技術を駆使し、再現の難易度の高い画像にも対応している。 近年ではAI技術も活用し、効率的かつ高品質な制作を実現する。 社内では、困っているスタッフにもわかりやすく説明をしてくれて助けてくれる先生のような存在。

-何となくわかる画像のお話しシリーズ