撮影された環境によって写真は赤くなったり青くなったり、思ったような色調に仕上がらない場合があります。
このような写真の状態を『色かぶり』と言いますが、それらの写真には色を修正するなど補正作業が必要になってきます。
こちらのオフィスでは、『色かぶり』の補正作業について少し踏み込んだ話をしているようです。
バラじゃね。……これは色かぶりしていると思うかね?
なんとなくホラ、赤いバラを撮影するのにピンクの背景って違和感あるし、葉っぱがなんとなく濁ってる気がする
おぉ! 鋭いのぉ。これはかぶりの無い画像をわざと赤かぶりに加工した画像なんじゃ、元の画像を見てみよう
そうだね。実際に撮影に立ち会ったわけじゃないから、本当のところはわからないよね
背景の色で判断できないとなると、葉の濁りくらいじゃが、それも主観じゃからの
確かに……じゃあ、博士ならこんな時、どう色かぶりってどうやって判断するの?
残念じゃが……撮影された実物を見たわけではないから、ワシにも判断がつかん
そうなんじゃ。写真が色かぶりをしているか、していないか、その判断は結構難しい
37の階調に分かれていて、白と黒、グレーの基準として写真撮影の際に使う用具じゃよ
撮影の際にグレースケールを被写体の側においておくと、撮影された時の色かぶりの状態が判断し易くなる
あ、なるほど撮影された物がなくても、コレは手元に置いておけば参考見本になるというわけだ
流石じゃね、そういうことじゃよ。ためしに先ほどの写真に、仮想になるがグレースケールを置いて色かぶり具合を見てみよう
考え方としてはグレースケールを正しい白、黒、グレーの状態にしてあげることじゃ
白、黒、グレーの正しいバランスはRGBで言えば、3色同じ数値になっている状態
色かぶりの無い状態でのグレースケールのRGBの数値は、1段目がR=255.G=255.B=255で、15段目R=130.G=130. B=130、37段目がR=0.G=0.B=0になっている
色かぶり状態のグレースケールのRGBの数値は、1段目がR=227.G=174.B=206で、15段目R=110.G=85. B=100、37段目がR=1.G=0.B=1になっていて、かぶりの無い状態とくらべるとRGBのバランスが崩れている
グレースケールのかぶりの無い状態のバランスになるように画像ソフトで修正する。同じ写真内のグレースケールのバランスが整えば、写真全体のバランスが整うじゃろ。これが色かぶりの基本的な補正のやり方じゃ
そうじゃよ。ただ、写真の中にグレースケールの様な基準となる物がそうそう有るわけではないよね
うむうむ。写真の中に基準となり得そうな白や黒、グレーを探すんじゃよ
う~ん。本物はどうかわからないけどコンクリの部分はこんなに青くないんじゃないかと思うけど
ワシも同感じゃ。青かぶりなんじゃと思う。実際にRGBの数値を見てみると、コンクリートの部分(A)や湯沸かし器の金属部分(B)、それと黒(C)であろう部分を見るとやはりバランスがとれていないようじゃ
コンクリートの部分や湯沸かし器の金属部分などを基準にしてRGB3色のバランスを修正してみたよ
なるほど、こんな感じで写真の中から基準になりそうな色を探して修正するんだね
雲の白じゃったり、機械関係の金属やコンクリートなどはグレーの場合が多いから、判断基準に使うことが多いかの。経験則で本来はバランスがとれていると思われる物を物を探すんじゃ。で、今度の写真じゃが……
ワシもそう思う。中央の看板はおそらく白じゃろうからバランスが良さそうじゃ。道は石畳かの? こちらをグレーと考えて見るとこちらもバランスが整っているように見えるね
RGBの数値を見てみると、やはりバランスがとれているようじゃ
さて、このようにRGBのバランスを整える補正のことを『グレーバランスを整える』と言ったりするよ
色かぶりと補正の話はこんな感じじゃが、モーちゃんがこれから利用する写真を選ぶ時の参考になると良いの
『色かぶりの補正について』
1.写真内の白、黒、グレーのRGBのバランスを確認し、色かぶりの具合を確認する
2.色かぶりの補正は、白、黒、グレーのバランスを揃える
3.RGBのバランスを整えて補正することを『グレーバランスを整える』と言う
モーちゃんが写真撮影をする時はグレースケールを利用すると良いのじゃが、商品撮影ならともかく風景写真や人物の撮影時には少々物が小さすぎる
白とわかる物があれば、ある程度色かぶりの度合いが判断できるので、白い画用紙など利用して基準にするのも方法の一つじゃね。精確な白では無いが手に入りやすいし、サイズも自由に変えられるしの
さて、色かぶりの話もしたので、次回は写真の明るさについて話を聞いていただこうと思うよ
その見た目を判断する基準があったら良いかと思ってな
色かぶりの補正についての話を聞いたモーちゃん。
基準となる色を見つけることで写真の状態を理解する方法を覚えました。
次回は写真の明るさについて話をすることになりそうです。
『画像補正のいろいろ パート3』へ続きます。
To be continued・・・